第14話
怖がりな彼_我慢は体に悪いです
黒須くんのお父さんは
私を見るなり
咳払いをした
40代だろうか…
中年とは思えない体格の良い体つきである
そう言うなり、
黒須くんのお父さんは部屋をあとにした
倉持くんはそう言うなり、無理矢理友美を起こして、寝ぼけた友美を連れながら、帰って行った
さっきは気づかなかったけど、
黒須くんの顔はやや曇っている気がした
興味本位で口にしてはいけないことを
深く考えずに口にしてしまった
私の悪いところだ
案の定黒須くんは、ビクッとした
また…だ…
私は
彼に…
この
怯えるような…
この顔を…
させてしまった…
私は、荷物をカバンにしまい
立ち上がろうとした
黒須くんは、私の手を掴んで引っ張るなり
そのまま、背中からそっと抱きしめた
掠れているのに澄んだ優しい声…
私は
黒須くんのお父さんの
言葉を思い出していた…
ほどほどに…
そして、
前に倉持くんが言っていたこと
「目立つな」
それは…
あの体育館のことも
そうだ…
彼は
ずっと…
黒須くんは
ただ
黙って…
何も言わなかった
でも…
彼の身体から伝わる体温は
とても
冷たかった
だから私は、その手を掴んだ
その言葉のあと、
泣き虫の彼は
少し泣いていた気がする
そのあと、
やっと彼の顔を見た時
窓から差し込む夕日のせいか
頬がほのかに赤い気がした
また彼の頬が赤くなった気がした
ちょっと、想像して…
私の方が赤くなった