倉持くんと黒須くんが離れたところで
何か喋っている。
倉持くんが走ってエスカレーターを降って行った。
黒須くんがこっちにくる。
私は、慌てて下を向いた。
さっき、倉持くんと話していた時の黒須くんは、
どこか大人びていて、緊張感があった……
でも、今の黒須くんの顔は
とても穏やかで優しい。
初めての……
黒須くんとの校外学習──。
黒須くんのことを
もっと知れるチャンスだと思てはいたけど、
ちょっと予想外すぎた。
私は、震える足で黒須くんの後を追って……
黒須くんが男を確保する瞬間を見た。
──黒須くんって……格闘家?
そして、
このあと私は、
黒須くんの正体を知るのである。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!