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第1話

~1~
28
2020/06/09 17:13
なんでかわかんないけど、言葉にできないんだよ。
気持ちを正直に、だなんていわないで。心の内を形にできるほど、僕はしっかりいないよ。
壊れてないよ。悲しくないよ。
さみしがりの君の横にずっといるから。
「明日は、晴れるといいな」
リエル
そうね、雨は嫌いよ
リエル、リエル。
どうして雨が嫌いなの。

雨は大地を潤して、僕らを生かす。
雨がないと、人は死んでしまうんだよ。
リエル
雨は嫌いよ、濡れてしまうもの
「それなら僕の傘を貸してあげるよ」
リエル
だめよ、あなたが濡れてしまうでしょう
「それなら一緒に傘に入ろう」
リエル
だめよ、それでは歩きにくいわ
リエル、リエル。
どうしてそんなに雨が嫌なの。

僕はずっと君の隣にいて、どんな時も傘になるのに。
「リエル、悲しいの」
リエル
いいえ、悲しくないわ
「リエル、辛いの」
リエル
いいえ、辛くないわ
「リエル、寂しいの」
リエル
ええ、寂しいわ
「リエル、痛いの」
リエル
ええ、とても
雨の日。僕は決まって君に聞くけど、同じ返事しか返ってこない。

おうちがないね。あとどれだけ探したら見つかるのかな。
あそこにおっきな木があるよ。雨宿りでもしない?
木の実を拾ったよ。座って一緒に食べよう。
川があるよ。お魚見つけられるかな。

リエル、リエル。どうして急いでいるの。
僕の言うことなんて耳にも入ってないみたいだ。
「ねえ、どこへいくの」
リエルはまた答えてくれない。
僕、嫌われちゃったのかな。
「リエル、ごめんね」







僕は何にもできないまんまだ









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リエル
あなたのところへいくのよ。寂しがりなのはいつも決まって貴女の方だわ
今日も雨なのね。ああ、お顔が濡れてしまうわ。
リエル
やっぱり、雨は嫌いよ
…塗れてしまうもの
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