第33話

なーくんはすごい
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2021/09/09 09:46
ジェルくんside
コンコンコン
誰かがドアをノックした音が聞こえた
ななもり。
ジェルくーん!入ってもいい?
ジェルくん
ええよー!
なーくんが部屋に入ってきた

するとさっきの遠井さんみたいなやつは姿を消した



なーくんは床に座った

俺もなーくんと同じように椅子からおりて床に座った
ジェルくん
どしたんこんな時間に?
ジェルくん
しかもなーくんから来るなんて…
ななもり。
……あのさ、ジェルくん
なーくんは、いつにもなく真剣な顔になった
ななもり。
忘れようなんて、思わなくてもいい
だけど、それでジェルくんが苦しむなら俺は見て見ぬふりは出来ない。
ななもり。
ジェルくんを苦しませる何かがそこに居るんでしょ?
ジェルくん
………!?
なんの事かなんて、聞かなくてもわかる
ななもり。
俺はさ、ジェルくんが本当に遠井さんのこと好きだったの知ってる
ななもり。
誰よりも悔しくて、悲しかったのはジェルくんだよね
ジェルくん
…………
ななもり。
ねぇジェルくん
ななもり。
"泣きたいときは泣いていいんだよ"
この言葉は、遠井さんのお葬式の日になーくんが言ってくれた言葉だった。
たくさんの人が集まったそのお葬式
俺は泣かなかった
いや、正しく言うと泣かないようにしていた
遠井ママと遠井パパが泣いてるのを見て、自分が情けなくなったから
俺が守れんかった、俺がそばに居やんかった、俺があんなことキスした
そのせいで遠井さんは……
そのときだった
なーくんが俺の肩に手を置いて
ななもり。
ジェルくん
ななもり。
泣きたいときは泣いていいんだよ
なーくんも泣いていた
でも、なーくんの手はあったかかった。
その言葉で俺の目からは涙がどっと溢れ出した
ジェルくん
ありがとう…っ………
俺はあの日みたいに泣きじゃくっていた
そのあいだなーくんはずっと背中をさすってくれていた
ひとしきり泣いたあと、俺はなーくんに聞いた
ジェルくん
なーくんいつから知ってたん?
ななもり。
え、なんのこと…?
ジェルくん
え、なんのって…遠井さんみたいな奴が俺の周りにいること
ななもり。
え、なにそれww
ジェルくん
え、でもさっき俺を苦しませる何かが…って
ななもり。
え、あれ適当に言っただけだよ
ジェルくん
え、そうなん!?
ななもり。
うんw
ジェルくん
なんやぁ〜〜……
ななもり。
なんか最近、ジェルくん元気ないなって思って
ななもり。
ねぇ、その「遠井さんみたいな奴」ってジェルくんが元気ないことと関係あるの?
ジェルくん
……っ
ななもり。
大丈夫。絶対に誰にも言わないから














小学校の頃に児童相談所の紙で見たことがあるな、と思った




だけど、なーくんのその言葉は信じられた



なんでなのかは分からない























なーくんって、凄いんやな…

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