ジェルくんside
コンコンコン
誰かがドアをノックした音が聞こえた
なーくんが部屋に入ってきた
するとさっきの遠井さんみたいなやつは姿を消した
なーくんは床に座った
俺もなーくんと同じように椅子からおりて床に座った
なーくんは、いつにもなく真剣な顔になった
なんの事かなんて、聞かなくてもわかる
この言葉は、遠井さんのお葬式の日になーくんが言ってくれた言葉だった。
たくさんの人が集まったそのお葬式
俺は泣かなかった
いや、正しく言うと泣かないようにしていた
遠井ママと遠井パパが泣いてるのを見て、自分が情けなくなったから
俺が守れんかった、俺がそばに居やんかった、俺があんなことした
そのせいで遠井さんは……
そのときだった
なーくんが俺の肩に手を置いて
なーくんも泣いていた
でも、なーくんの手はあったかかった。
その言葉で俺の目からは涙がどっと溢れ出した
俺はあの日みたいに泣きじゃくっていた
そのあいだなーくんはずっと背中をさすってくれていた
ひとしきり泣いたあと、俺はなーくんに聞いた
小学校の頃に児童相談所の紙で見たことがあるな、と思った
だけど、なーくんのその言葉は信じられた
なんでなのかは分からない
なーくんって、凄いんやな…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。