ジェルくん視点
俺は慌てて店の外に出た。
酔いは完全にさめたわけじゃないけど、今行かないとダメなんだ…。
だって…
あんなに涙で顔がぐしゃぐしゃになった遠井さんを見たのは初めてだったから。
家に帰ってるのかもしれない…。
遠井さんはちょうど道を歩いていた所だった。
遠井さんは泣いてるのがバレたくないのか、涙を服の袖で拭いていた。
そして振り返った。
遠井さんは下を向いて早々と歩いていってしまった。
このとき俺が走って追いかけていれば、なにか変わっていたかもしれない。
俺は後ろを向いて反対方向へと歩いた。
その時向かいからすごいスピードで大きいトラックが通り過ぎていった。
無意識のうちにそれを目で追っていた。
その目線の先には…
そこには横断歩道を渡っている遠井さんが居た。
俺は走って、走って、走った。
遠井さんはずっと下を向いているせいか、トラックに全く気付かない。
キキーーーーーーッ!
ガッシャ-ン…!!(ぶつかった音)
まもなく救急車が到着し、病院へと運ばれたが、
その後遠井さんは天国へと旅立ってしまった。
葬式の日、そこには色んな人がいた。
なーくん、さとちゃん、ころん、るぅと、莉犬、P丸様。、源先生、ももちゃん、ゆりちゃん、尾宅くん、サタン、そしてもちろん遠井ママとお父さん。
こうして見ると、遠井さんは色んな人に愛されてたんだな、と思う。
遺影に写った遠井さんは、天使のような笑顔だった____
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。