第29話

遠井さん…!!
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2021/07/13 14:14
ジェルくん視点
俺は慌てて店の外に出た。
酔いは完全にさめたわけじゃないけど、今行かないとダメなんだ…。

だって…
あんなに涙で顔がぐしゃぐしゃになった遠井さんを見たのは初めてだったから。
ジェルくん
遠井さん…!!
ジェルくん
どこ…!?おーい!!!
家に帰ってるのかもしれない…。
遠井さん
ッ………
ジェルくん
あっ!!遠井さん!!!
遠井さんはちょうど道を歩いていた所だった。
遠井さん
……………
遠井さんは泣いてるのがバレたくないのか、涙を服の袖で拭いていた。
そして振り返った。
遠井さん
…なに。
ジェルくん
あ…あのその、あれには誤解があって……!!
遠井さん
だから?
遠井さん
結局何が言いたい訳?
ジェルくん
いやあの、さっき、モブちゃんにキス…されてたのは事故…っていうか……
ジェルくん
それで、ごめん…
遠井さん
ほんとにあり得ないんだけど
ジェルくん
やから、ごめんって!
遠井さん
はぁ?ごめん?
私がどれだけ傷ついたか…あんたには分かってないでしょ
ジェルくん
それは…
遠井さん
もういい話になんない、じゃあね
ジェルくん
ちょ、ちょっと待ってや遠井さん!!
遠井さんは下を向いて早々と歩いていってしまった。
このとき俺が走って追いかけていれば、なにか変わっていたかもしれない。
俺は後ろを向いて反対方向へと歩いた。
その時向かいからすごいスピードで大きいトラックが通り過ぎていった。
無意識のうちにそれを目で追っていた。



その目線の先には…


























ジェルくん
と、遠井さん…?
ジェルくん
っ………………!!!
そこには横断歩道を渡っている遠井さんが居た。
俺は走って、走って、走った。
遠井さん
………
遠井さんはずっと下を向いているせいか、トラックに全く気付かない。
ジェルくん
と、遠井さんッ………!!!危ない!!!!
遠井さん
え………?ジェル……?






キキーーーーーーッ!
遠井さん
……………え?









ガッシャ-ン…!!(ぶつかった音)
ジェルくん
え、あ…そ、そんな…う、嘘やんな…??
ジェルくん
「遠井さんの元に駆け寄る」
ジェルくん
と、遠井さん…?
ジェルくん
遠井さん!遠井さん!!!泣
遠井さん
ッ…………ジェ、ジェルッ…
ジェルくん
は、遠井さん!!
ま、待ってや、今救急車呼ぶから…!
遠井さん
あ、あのッ…さ…
ジェルくん
遠井さん喋ったらあかんって…!!傷が!
遠井さん
私ッ……ジェルの…幼馴染みで…彼女でッ…よかッた……
遠井さん
あり、がとう…
ジェルくん
な、なに遺言みたいなこと言ってるん……
遠井さん
みんなにもッ…よろ、しく………
ジェルくん
え、と、遠井さん……??
ジェルくん
遠井さん!遠井さん!!
ジェルくん
まだ死んだらあかんってッ…!
俺と一緒に大阪行こって…約束したやん!
もっと楽しいことしよって…
いつか結婚する時はすとぷりメンバーとか菊地さんとか
ももちゃんとかゆりちゃんとか呼んでしたいなって…
遠井さん言ってたやんッ…
ジェルくん
なんで約束破るんッ……
ジェルくん
まだ俺なんも…恩返し出来てない…泣























まもなく救急車が到着し、病院へと運ばれたが、
その後遠井さんは天国へと旅立ってしまった。
葬式の日、そこには色んな人がいた。

なーくん、さとちゃん、ころん、るぅと、莉犬、P丸様。、源先生、ももちゃん、ゆりちゃん、尾宅くん、サタン、そしてもちろん遠井ママとお父さん。
こうして見ると、遠井さんは色んな人に愛されてたんだな、と思う。


















遺影に写った遠井さんは、天使のような笑顔だった____

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