大切なお姉ちゃん。一番、誰よりも大好きだったお姉ちゃん。叱ってくれたけどずっと、ずっと一緒に居たかった。
でも………
お姉ちゃんの死を受け入れなければならない。
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川の近くの草原。お姉ちゃんがお気に入りだった場所。よく、内緒で影山にバレないようにここまで来てたのを思い出す。
……夏はここで水遊び。濡れてもバレないように着替えを持って。ここは水が清らかで、透き通っている。魚を見たりした。それを、お姉ちゃんと一緒に自由研究をして、金賞を取ったこともあった。
…私は川のほとりに腰掛ける。前来たのは、ちょうど二週間前。2人でお父様の愚痴とか、学校の話をしたっけ。その時の、お姉ちゃんの話は面白かった。内緒で、お父様のグラタンに「ですそーす」入れたんだって。よくわかんないけど、今流行ってて友達から内緒で譲り受けたんだって。確かに、この前お父様が、
影山も急いでた。
本当に面白かった。
いつもいた左隣を見ても、あのつややかな黒髪を持つ私のお姉ちゃん。光希はいなかった。
わかってるよ。居ないことなんて。
でも。
素直になれない……自分がいる。
気づいていた。あの人のせいだって。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!