私の隣をエイジが座り、その隣にそら。
向かいには、シルクさんとりょうさんが座っている。エイジはしっかり私の隣に座ってくれていた。
遠くから大勢で移動する、足音がよく聞こえた。それにしても、大人数。
みんな…。私の苦手な男の人。
お父様の真実を知ってから、私は男の人に対して恐怖を感じるようになった。
自分で男の人を避けてきた人生。
怖いよ。
私の全身を血が駆け巡る。心臓がばくばく動く。思わず、過呼吸になってしまう。
目が見えない。どんな人なのかも、わからない。
自分が信じてると思っているエイジもどんな人なのかもわからない。
いろんな人に迷惑をかけて、生きてきたこの人生。
こんなに胸が締め付けられることがあるなんて。苦しい…。苦しいよ…。
すると…。
私の手が暖かいもので包み込まれた。なんだろう…。落ち着いている自分がいる…。
あの、ぶっきらぼうな声。絶対あの人だ。
なんか、私が怒られことになってない?
まぁ。少し。と言いたかったが黙って口を閉じていた。
お姉ちゃん。
男の人を信頼して見ることにします。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。