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第73話

だい。ごじゅうごわ
………おい。
あなた

(………誰…?)

意識が朦朧としている私に誰かが話しかけている。
私は……何か椅子に縛り付けられているのか?体が動かない。
起きろ……あなた…。
あなた

(………みんな…?)

あなた

シルクさん……?それとも…エイジっ…?

私は小さな声で彼らの名前を呼ぶ。
すると、その声の主は、あははと笑い声をあげる。
あいつらと間違われるなんて……情けないなぁ…あなた?
あなた

あいつ……ら?

彼らのことを「あいつら」って呼んだ。
…………どういうこと?
俺も落ちぶれたな……いや?
その人は私の顎を掴んだ。力強く顎が折れてしまうにではないかと思うほどだった。
あなた

……っ…痛いっ…。

お前が…俺の前からいなくなるからだろ?
あなた

(俺の…前から…?)

私はその瞬間、意識がはっきりと戻った。
私の目の前にはこの不穏な空気をまとったお父様がいるのだろう…。
あなた

………お父様…。

お父さん
お父さん
お?やっと意識が戻ったようだな?
お父さん
お父さん
その脳はお飾りかと思ったよ。
あなた

………なんですって…。

私は強く言葉で威圧をかけると、彼はひゅ〜ひゅ〜と口笛を鳴らしながら私から手を引いた。
お父さん
お父さん
お〜怖い怖い。
お父さん
お父さん
出来損ないが…俺に逆らうとどうなるのかわかってないのかな?
お父様の言葉に私の心臓が大きく脈打つ。
幼少期に見た、お父様の拳がお姉さまに当たり吹き飛ぶ様子が脳裏に思い出される。
あなた

…………っ…。

あなた

(今は……逆らってはいけない…)

お父さん
お父さん
出来損ないにもチャンスはあったのにな?
あなた

……チャンス…ですか…。

お父さん
お父さん
そうそう。俺の「モノ」になるチャンスだったのに…。
あなた

私は……あなたの駒じゃない…。

私が口答えすると、ばちんと左頬を叩かれた。
私が家にいるときはほぼ毎日叩かれていたから……もう痛いとも思わなくなっていた。
しかし……時が経つと皮膚も忘れるようだ。今はジンジンと叩かれたところが痛む。
お父さん
お父さん
はぁ……。全く…くだらないな。
お父さん
お父さん
こんな奴が俺の娘だと?……笑わせてくれるわ…。
私はお父様の言葉を静かに黙って聞くしかなかった。
すると、2人だけだと思っていたのに、別の方向からある人の声が聞こえた。
ツリメ
ツリメ
あなたの娘でしょ?
ツリメ
ツリメ
実際にそうなんだからさ!
あなた

つ、ツリメさん……。

今まで頼りにしていた人間が…まさか裏切り者だなんて…。
お父さん
お父さん
うるさい。お前は黙っていろ。ツリメ。
ツリメ
ツリメ
……は〜い。
お父さん
お父さん
おい!影山!
私は知っている名前を聞いて、体がビクんと反応する。
もしかして……助けてくれるのではないかと。しかし、彼も境地に立たされている。
助けてくれるわけがない。
影山
影山
…………はい。
お父さん
お父さん
ツリメをどこかへ連れて行け。
影山
影山
………わかりました。
影山の弱々しい声。……聞いていて悲しい気持ちにさせられる。
影山
影山
行くぞ。ツリメ。
ツリメ
ツリメ
………は〜い。
渋々と出て行くツリメだが、彼はあっと声を漏らし、お父様にこう尋ねた。
ツリメ
ツリメ
約束は守ってね〜
お父さん
お父さん
………わかっている。
ツリメ
ツリメ
………またね〜あなた〜。
バタン…)
ドアの閉じる音が部屋中に響き渡る。
あなた

(お父様と……2人っきり…)

なんとなく、お父様にされることはわかっていた。殴られ、匿った奴らを教えろというのだろう。
私は何をされても、彼らのことは決して口に出さないと決意した。
彼らはもう私と無関係だ。
私のことを忘れて生きて行くことが彼らの最善の策だと信じてここまで来た。

今までありがとうーーーー。
さようなら。