彼は満足そうに言った。
そういえば聞きたい事があった。どうしようかな…。聞いたら失礼かもしれない。
なんか…聞きづらい。やめとくことにしよう……。
としたら。彼は、
なんだろう…。肩に大きくて…温かい…。すると、一瞬で彼の手だと気づいた。
そのまま私は彼の方に引きつけられ、彼の胸だと思われるところに私の頭が当たった。
そのまま両手が背中に回った感じがした。そして、暖かさを感じる。
すると、彼の服の香りが一瞬で私の鼻をかすめた。
やっと口開いた……。と思ったら。
と耳元で囁いた。今どんな状態なのか。……今となってはわからない。
今更謝っても遅いかな…。と思ったのもつかの間。
やっぱりそうだった。
わからないが、彼は微笑んで言っているような気がした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!