第50話
だい。さんじゅうはちわ
りょうはいきなり私から手を離す。
言いたいことがあるけどうまく口が動かない。
りょうは照れていることを隠しながら、笑っているように思えた。
りょうの話を聞いたらいきなり口が開いた。何を言いたいかはわからないのに。
初めて思った感情。初めて……人の心に触れた。
そんな深い考えじゃない。りょうを気にして発言しているわけじゃない。
すると、りょうがふふっと笑みをこぼした。
どうせ、馬鹿にされるに決まってる…。
でも、聞こえてきたのは違かった。
嬉しい……。久しぶりに聞いた言葉だな。
前に言ったのはお姉ちゃんがいた時だった。
嬉しいって久しぶりに言われたな。
と笑うりょう。……………バカにされてるのかな。
なんて思ってると、聞き覚えのある声が聞こえた。
私はそっと胸をなでおろす。
いきなり発言がきつくなるシルク。………いつもと違う。
りょうとシルクの周りの空気がピリピリしているのを感じる。……隠さなくてもいいのに。
実は、と言いかけた時。りょうの手のひらが私の口をふさぐ。
ドキマギしながらそう答える。凄い勢いで心臓から血が全身に流れて行くのを感じる。
なんとなく、シルクが元気なさそうに答えたように聞こえた。なんでだろう。
こうして、高身長の彼との仲は深まった。