このことを確信したのは、夜分遅いからベットに入ろうと寝室に移動してた時だった。
あなたはドアにそっと耳をつけ、中の音をひっそりと聞く。
その内容は…
あまりに酷かった。
お父様の声とともになにか…グラスが割れるような音がドアに響いてきた。
ゴブ)鈍い音が部屋中に響き渡った。
頰を殴られたのか、うまく喋ることができない影山。
色々なものが落ちる音。お父様がきっと散らかしたのだろう。
ゴブ!)さっきより強く殴る音。
でも現実は違った。体が動かないのだ。
そっか。ああなりたくないのだ。影山みたいに……………
お姉ちゃんみたいに。
ドン!)
体が思うように動かない。なんで?私はああなりたくない。そう思ったから?死にたく……ないから?
この声と共にお父様の笑い声が響き渡る。私はいつのまにか恐怖でガタガタと震えていた。
怖い。死ぬ。怖い。死ぬ。
それを頭の中で繰り返していた。私はいつの間にか…
走り出していた。
影山を残して。
それから耳にこびりついている。
あいつの笑い声。
一生忘れない。ずっと、心の傷として
私を締め付ける。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。