第14話

お姉ちゃんの同居人
602
2020/04/06 12:59
黙って出てきちゃった…



しまったなぁ




じゃなくてこれでいいんだよ!




間違ってない




自分に言い聞かせて病室のドアを開けた




そしてメガネをかけて本を読んでいた姉が顔を上げる
雪音
その様子だとまだか…
あなた

第一声でそれやめて

雪音
その返しだとご名答って感じだね
図星だから何も言えない
雪音
まあそれは取り敢えず置いといて
今日は頼みがあるの
あなた

頼み?

雪音
家から取ってきて欲しいものがあって
あなた

まっ待って…お姉ちゃんの家ってあの…同居人さんがいるっていう…

雪音
そうそう
あっあなたってそういう系の人は会うの初めて?
あなた

うん…

未知との遭遇…



なんて言ったら失礼だけど…



初対面の人はちょっと怖い…かも
雪音
大丈夫
見た目は完全に女の人だから
それに女の子は抱きつくだけで襲わないから
あなた

ちょっとスキンシップ強めの人は

雪音
フジくん以外はちょっと?
あなた

そっそういう意味じゃない!

雪音
早くより戻せばいいのに
あなた

だめ…

雪音
いやじゃないんだ
あなた

ほっといて

雪音
それは断る
話が進まないので姉から鍵と住所を貰って向かう

今の時間は同居人さんは家にはいないらしい



人が飛び交う中何とか見つけ出した
あなた

ここかな?

いたら困るので一応インターホンを鳴らす



ピンポーン



中から『はーい』と聞こえる



えっいるじゃん



いないって言ったんじゃんお姉様よお!



ガチャ
あら?アナタ…
あなた

えっと…

もしかしてあなたちゃん?
きゃーほんとにかわいい!
写真で見た通りの雪うさぎちゃんだわ
あなた

雪うさぎ…?

そういえば…



フジにも1回言われたっけ…
立ち話もなんだから上がって上がって
ユッキーに言われてきたんでしょ?
あなた

はっはい

勢いがすごい人



でも本当に女の人にしか見えない



声は男の人と言われれば…



って感じかな?






狭いけどゆっくりして行ってね
お紅茶好きだといいんだけど…
あなた

ありがとうございます
紅茶好きです

良かった
クッキーも良かったらどうぞ
あなた

いただきます…

さっきからこっちニコニコでみてきてるんですが…
今日が休みでホントラッキー
雪うさぎちゃんが尋ねてきてくれるなんて
本当にかわいい (*´ `)ノ´ ナデナデ
あなた

あの…

あっ自己紹介がまだだったわね
アタシは小野村 加愛カイト
長めけどこの髪は地毛ね
一応モデル業界ではかなでで通ってるわ
あなた

カナデ…ってあの!
女性誌にも男性誌にも載ってるっていう!

そうそうその奏さんですよ〜♡
姉の同居人が有名人だった件について



この人は人気のファッション雑誌に乗る有名な人物



スタイルもいい上に男性モデルも女性モデルもどちらもこなせるというすごい人



男の人だから…水着とかになると男の方しか出さないみたいだけど…
お姉ちゃんが何言ったか知らないけど
アタシ恋愛対象は別に男限定じゃないから
あなた

え?

それって私ヤバくね?



今…今日あったばかりの男の人と部屋で二人きりって…



って考えて思わず後ずさる
そんなに怖がらないで食べたりしないから…でもまあ…
そう言って奏さんが髪をかき上げてこちらを向く


やばいかっこいい
加愛
キミの姉さん俺が落としたら…
俺はキミの兄さんってことになるから…
あなた

へ?

そうなったらよろしくね?

代わりに身の速い人だ
ユッキーには内緒にしてよ?
あの子全然気づいてないから
あなた

はいもちろん
応援します

アナタから責めるのもありよりのありかしら?あなたちゃん
あなた

えっと…

かわいい
彼氏と揉めるのは辞めないとだよ?
あなた

お姉ちゃんのお喋り…

妹が心配なのよ
勢いはすごい人だけど



本当にいい人だったな



近い将来あの人がお兄さんに…



あの人なら悪くない



悪い人じゃないし



あの格好のままお母さんに会いに行ったら大変なことになるけど…



私は姉から頼まれたものを持って病院まで戻った







雪音
おかえりー
どうだった?
あなた

びっくりした…(色んな意味で)

雪音
だろうね
おっとりした姉に脅かされるのは本当に癪だ



自分も人のこと言えないけど



その日は暗くなり始めた頃に帰った



そして家についてから気づく…
あなた

あ…あれ?

そういえばわたし…



鍵もってない…と…

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