第13話

[番外編]監督生です。チョコをもらいます
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2022/02/15 11:03
今日は2月14日。バレンタインデーだ。
ツイステッドワンダーランドにもその慣習はある…のだが、ここNRCは残念ながら男子校。ほぼ普段と変わらない1日が流れていた。
──一部を除いて。
モブ
あ~、そういえば今日ってバレンタインだっけ?
モブ
…そうじゃん。俺彼女とかいねぇから忘れてたわ~。
フロイド
フロイド
(バレンタイン…。)
フロイド
フロイド
(こういう所でアピールしとかなきゃ、やっぱダメなのかな…?)
フロイドは昨日「はっ!?い、いや、これは小エビちゃんにあげる用とか、そんなんじゃないからねっ!?」と言いながら作ったチョコレートを思い浮かべながらぼんやりとそう考えた。
フロイド
フロイド
(次は6時間目…。小エビちゃんは部活やってないから授業終わったら多分すぐ帰っちゃうよね…。)
フロイド
フロイド
(………よし。)
そしてフロイドは6時間目をサボる決意をすると、鏡舎へ向かった。
────────────────
6時間目の終了を知らせるチャイムが鳴ったのを確認してから、フロイドはあなたがいる1ーAにひょこっと顔を覗かせた。
フロイド
フロイド
小エビちゃん、いるぅ?
モブ
ヒッ!ふ、フロイド・リーチ…?何でこんな所に…っ!
モブ
えっ、てか小エビちゃんって誰…?
フロイド
フロイド
あ~っと…あなたってヤツ、いる?オレそいつに用があるんだよねぇ。
運悪く教室の入り口辺りにいた人達は、フロイドにそう言われ圧にビビりながらもきょろきょろとあなたの姿を探した。
モブ
…あっ、いたいた。おーい!あなたー!お前にお客さんだぞー!
(なまえ)
あなた
(ん…?今、僕呼ばれました…?)
机に突っ伏して休憩していたあなたは、名前を呼ばれて目線だけ上げて声の主を確認する。
そしてそのまま視線を教室の入り口の方へ滑らせて、あなたは目線を元に戻した。
(なまえ)
あなた
(今…フロイドさんがいた気がしますけど、きっと気のせいですね、ハイ。)
(なまえ)
あなた
(よし。僕は授業に疲れて寝ているという設定で…。)
しかし、あなたの隣に座っているオクタヴィネル寮生がそうはさせてくれなかった。
モブ
おい、あなた。寝たふりせずに行ってくれよ、頼むから。
(なまえ)
あなた
何でですか…?僕何もしてませんよ?
モブ
あっやっぱり寝たふりだったんだな。マジで寝てたらどうしようと思ったわ…。
そう安堵の息をついた彼を見て、返事をしなければ良かったとあなたは後悔した。
別にあなたはフロイドが嫌いだというわけではない。ただ、面倒事が嫌なだけだ。
しかし、次の彼の言葉にあなたの気持ちが少し揺らいだ。
モブ
それだけ言うならあなたも分かってんだろ?フロイド先輩が暴れたらマジでシャレになんないからな!?
(なまえ)
あなた
え~…でも…。
モブ
…あぁもう!明日食堂で食事奢ってやるから!行ってくれよ!
(なまえ)
あなた
…仕方ないですねぇ。
この教室が荒れるのはあなたも嫌なので、あなたは明日の食事で手を打つと、上半身を起こし立ち上がった。
(なまえ)
あなた
呼びました?
フロイド
フロイド
あっ、小エビちゃん!
モブ
あなたさん…!!
あなたが渋々フロイドの所へ行けば、フロイドはぱあぁっと顔を輝かせ、フロイドに詰め寄られていた人達は救世主の登場に涙を流す。
(なまえ)
あなた
(泣く程って…フロイドさん、容赦なさすぎですよ…。僕にはそこまでしてないでしょう…?)
それはフロイドがあなたを気に入っているからなのだが、あなたはそれには気付いていない。
(なまえ)
あなた
…で、何の用なんですか、フロイドさん?
フロイドはすぅ、はぁ、と一度深呼吸すると、後ろに持っていた小箱を差し出す。
フロイド
フロイド
これ…小エビちゃんに、あげる。
(なまえ)
あなた
ありがとうございます…?
急な贈り物にあなたは驚きどうしようか、と戸惑う。
でも彼の性格的に中身が毒だったり爆弾だったりはしないだろう、と短い付き合いながら見抜いてるあなたはここで拒んで暴れられても嫌ですし、と受け取った。
フロイド
フロイド
ん、用事はそれだけ。帰んね。
フロイドはそう言うとくるりと踵を返し教室を出ていった。
渡り廊下から吹き込む2月の冷たい風が、火照った頬を冷ますのにはちょうどいい。
フロイド
フロイド
(小エビちゃん…何て思ったかな…。)
気になるけれど、知るのはちょっと怖い。
相反する気持ちを抱えて、フロイドは鏡舎へと走っていった。
──────────────
(なまえ)
あなた
(これは一体何なんですかね…。)
そして放課後。あなたはフロイドからもらった小箱を不思議そうに眺めながら廊下を歩いていた。
(なまえ)
あなた
(フロイドさんがいきなり僕にプレゼントを渡すなんて怪しすぎますし…。まぁ死ぬような物ではないと思いますけど…。)
1人で小箱とにらめっこするあなたを見つけて、銀髪の青年が近づいていった。
アズール
アズール
あなたさん!少しいいですか?
(なまえ)
あなた
アズールさん。どうしました?
フロイドとは違い普段はあまり絡んでこないアズールが声をかけてくるのを珍しく思いながら、あなたは首を傾げた。
アズールは周りをきょろきょろと見回しこちらを見ている人がいないのを確認すると、透明な袋に入ったチョコレートを渡した。
アズール
アズール
この前契約違反者に襲われた時に助けてくださったでしょう?そのお礼です。
(なまえ)
あなた
はぁ…。でも、何でチョコレートなんですか?
アズール
アズール
っ!?いっ、いえ、別にこれといった理由はありませんけど…!?
あなたの鋭い質問に、アズールの肩がビクッと跳ねた。
わざわざ不自然でない理由を作って渡しに来たのに、まさかそこを聞かれるなんて…とアズールはあなたの鋭さを侮っていたのだと痛感する。
まぁ、あなたは単純に気になったから聞いただけで、そういう意図は全くなかったのだが。
アズール
アズール
でっ、では僕はもう行きますねっ!?また今度!
アズールは口早にそう言うと、そそくさとその場を去っていく。
一体何がしたかったのだろう、とあなたは心底不思議そうに彼の背中を見つめた。
──────────────
(なまえ)
あなた
ふぅ…。色々ありましたけど、今日もちゃんと帰ってこれましたね…。
多少古くても住めば都というのか、あなたはオンボロ寮に少し愛着を持っていた。
学園の喧騒から離れたこの静寂を心地よく思いながら、あなたはブレザーを脱ぎ談話室に入る。
ジェイド
ジェイド
お帰りなさい、あなたさん。
(なまえ)
あなた
ただいま戻りましt…って待ってください、何でジェイドさんがここにいるんですか?
ジェイド
ジェイド
ふふふ、紅茶はいかがですか?ちょうど淹れたてですよ。
(なまえ)
あなた
いや、会話を成り立たせる努力ぐらいしましょうよ…。
ジェイド
ジェイド
まぁまぁ。まずは座りましょう?話はそれからでも良いはずです。
そんな事をのたまいながら優雅に紅茶を飲むジェイドを見て、こちらが折れるしかないのだと悟ったあなたはため息をつくと所々破れかけているソファに腰掛けた。
(なまえ)
あなた
…で、何をしに来たんですか、不法侵入者ジェイドさん?
ジェイド
ジェイド
おやおや、ひどい言われようですねぇ。
(なまえ)
あなた
いや誰もいないと思っていた所に人がいたら誰だって驚きますよ。
ジェイド
ジェイド
…あなたなら、そうではないと思ったのですけどね。
(なまえ)
あなた
…何の、事でしょうか。
ジェイドがにやりと笑いながらカマをかけてみれば、あなたはすぅと目を細めながらそう返した。
その声が刃を突き付けるような、冷たく突き放すようなもので、ジェイドは眉を下げる。そこまで露骨に壁を作られるとは思っていなかった。
ジェイド
ジェイド
いえ。何でもありません。
ジェイドはゆっくりと首を横に振ると、それより、と黒い小さな紙袋をテーブルの上に置いた。
ジェイド
ジェイド
僕から“も”あなたさんにプレゼントですよ。
ジェイドはちら、とあなたが持って帰ってきた贈り物を見ながらそう言った。
(なまえ)
あなた
ジェイドさんまで…。今日は何なんですか…?
あなたの言葉を聞いて、ジェイドは無自覚だったのか、と驚く。
あなたの事だから、分かっているのだとばかり思っていたのに。
ジェイド
ジェイド
さぁ。ご自分で考えたらどうですか?
(なまえ)
あなた
嫌味っぽい言い方ですね…。
ジェイド
ジェイド
おやおや。
ジェイド
ジェイド
…そうだ。1つだけヒントを差し上げましょう。
ジェイド
ジェイド
今日は2月14日ですよ?
ジェイドはそれだけ言うと、オンボロ寮から去っていった。
1人残されたあなたは2月14日、14日…と記憶を辿り、そして顔を真っ赤にした。
(なまえ)
あなた
今日…バレンタインじゃないですか!?
*      *      *
はい。無事テストでタヒんできました、カイです()
ん?バレンタインはもう終わった?エッナンノハナシデスカネーオレヨクワカンナァイ()
いや…ね?いっぱい書いたから許してくだs(((遅れてすみませんm(_ _)m
あっ俺の雑談部屋に上目遣いでチョコをギヴィングしてくれてるふよたん(=フロイド)がいますよろしければ覗いてみてくだs(((宣伝すな
あっ気付いたらいいね100いっててめちゃ嬉しかったですありがとうございます!!
それではまた。バイバイッ。

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