第17話

監督生です。同級生に巻き込まれます。
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2022/04/14 08:31
──それは、空で星がちかちかと瞬く夜の事だった。
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あなた!いる?
ダンダン、と扉を叩く音で、あなたは無理矢理夢の世界から連れ戻される。
グリム
グリム
むにゃ…オイ、あなた。こんな夜中に誰か来たみたいだゾ。
(なまえ)
あなた
どうやらそうみたいですね…。
グリムは「お化けのヤツらか?」とあくび混じりに言っているけれど、気配は人の物だ。
さて一体誰なのか。あなたは玄関へ向かう。
(なまえ)
あなた
こんな時間にどちら様ですか?
エース
エース
……オレ。エース。ちょっと中に入れてよ。
扉の向こうからそう聞こえてきて、追い返すのも面倒なのであなたは扉を開け「どうぞ。」とオンボロ寮に入れる。
(なまえ)
あなた
…って、エースさん、首…。
グリム
グリム
エース?こんな時間にどーした……って何なんだゾ?その首輪は。
あなたの後から来たグリムもエースの首を見て首を傾げる。
しかしエースはその疑問には答えず、その代わりにとんでもない事を言い出した。
エース
エース
も~、絶対ハーツラビュルには戻んねぇ。
エース
エース
今日からオレ、ここの寮生になる!
グリム
グリム
にゃに~~~!?
(なまえ)
あなた
はい…?
(なまえ)
あなた
ちょっと待ってください。とりあえず事情を聞いても?
あなたはそう言い不満そうな顔をしたエースと夜中に叫ぶ程元気いっぱいなグリムを連れて談話室へ向かった。
所々生地が薄くなっているソファに2人と1匹は腰掛け、そしてあなたは話を促す。
(なまえ)
あなた
えっと…まずその首輪は何ですか?
エース
エース
寮長に付けられた。何か魔法が使えなくなるんだってさ。
グリム
グリム
オマエ、何でそんなの付けられたんだ?
エース
エース
タルト食った。
(なまえ)
あなた
…えっ?タルト?
予想外の回答に、あなたは目を丸くする。
エース
エース
そーだよ、それだけ!
むすっとしたまま言うエースに、これは長くなりそうだとあなたはひっそりとため息をつく。
起きていろと言われれば全然不可能ではないが、正直言ってもう寝たい。
しかしこれを放置するわけにはいかないので、あなたは哀れな同級生の話に耳を傾ける。
エース
エース
小腹が空いたから寮のキッチンに行ったら冷蔵庫でタルトが冷やしてあったんだよ。
(なまえ)
あなた
はぁ…。
エース
エース
しかも、ホール3つ分も!だから、ちょっとなら食ってもいいかなって思ったの。
エース
エース
…そしたら、それが寮長にバレて。
エース
エース
んでこうなった。
(なまえ)
あなた
…………。
グリム
グリム
…………。
グリム
グリム
どっちもどっちなんだゾ。
珍しくグリムがまともな意見を出し、あなたもそれに頷いた。
しかしエースの怒りが収まる事はなく。
エース
エース
たかがタルトを盗み食いしただけで魔法封じされるのはおかしくね!?
エース
エース
魔法士にとっては手枷と足枷付けられるみたいなもんじゃん。
(なまえ)
あなた
(それを言ったら僕は魔法の鏡さんのせいで常に魔法封じ状態ですがね…。)
エースの言うように考えたらあなたは常に手枷と足枷が付いた状態で生活している事になるのだが、それは一体どうなのか。あなたはそう思う。まぁもちろん口には出さないが。
エース
エース
しかも3ホールもあるんだよ!?絶対1人で食い切れねーだろ!
エース
エース
心が狭いにも程があるでしょ!
(なまえ)
あなた
…いや、3ホールあるならパーティー用とかだと思うんですが…。
グリム
グリム
オレ様もそう思うんだゾ!誰かの誕生日パーティーでもやるんじゃないか?
エース
エース
誕生日ぃ?
(なまえ)
あなた
でも、もしそうだとしたら怒るのも当然かもしれませんね。
あなたがそう言ったのを聞いて、エースは言葉を詰まらせる。
エース
エース
う……。オレ、あなたなら絶対に寮長が横暴だって言ってくれると思ってたんだけどぉ?
(なまえ)
あなた
まぁ、確かに横暴だとは思いますが…。
グリム
グリム
先に盗み食いしたオマエも悪いんだゾ。
1人と1匹から責められ、エースは気まずそうに目を逸らす。
それを見てあなたはため息を1つつくと、こう声をかける。
(なまえ)
あなた
明日、謝りに行きましょう。僕もついて行きますよ。
グリム
グリム
食べ物の恨みは恐ろしいんだゾ。
神妙な面持ちでそう頷くグリムをあなたがジト目で見ていたら、エースがため息と共に「分かったよ。」と言う。
エース
エース
謝ればいいんでしょ?
エース
エース
…絶対一緒に来いよな。
(なまえ)
あなた
分かってますって。
適当に誤魔化してエース1人で行かせる事を考えていなくもなかったが、そう言われてしまっては仕方ない。あなたは頷いた。
エース
エース
じゃ、とりあえず今日どこで寝ればいい?
グリム
グリム
オメー、本当に泊まる気か。
もう深夜と言って差し支えない時間の今寮に戻ったらそれはそれで向こうに迷惑だろう。でも…。
グリム
グリム
オレ様とあなたの部屋以外まだどの部屋も埃だらけなんだゾ。
そう。特に使う用事が思い浮かばなかったのであなたは必要最低限の部屋しか掃除していないのだ。
どうしましょう…と考えるあなたの隣でグリムは冷たく「自分で掃除しろ。」と言う。
エース
エース
げっ、掃除とか絶対やだ。
エース
エース
あなた~、部屋に泊めてよ。
エース
エース
オレ、スマートだから幅取らないしさ。ねっ。
(なまえ)
あなた
そうですね…。
(なまえ)
あなた
…仕方ありません。僕のベッドを貸しますよ。僕はこっちで寝ます。
グリム
グリム
ふなっ!?オイ、あなた!?こんなヤツのためにベッドを譲る必要はないんだゾ!?
エース
エース
いや、嬉しいっちゃ嬉しいけど、いいの…?
(なまえ)
あなた
あれっ、エースさんも遠慮という物は知っていましたか。
エース
エース
はぁ?
エース
エース
いいもんね。そんなに言うならベッドで寝てやろっ。
エース
エース
おやすみ!
(なまえ)
あなた
おやすみなさーい。
あなたがちょっと煽ってやればエースはすぐにそれに反応しふいと去っていった。
グリム
グリム
あなたー、本当にいいのか?
(なまえ)
あなた
大丈夫ですよ。
(なまえ)
あなた
それにエースさんと同じベッドで寝るよりかはマシなので。
(なまえ)
あなた
明日寝坊して謝りに行けなくなっても困りますし、ね?
あなたがそうニヤリと笑えばグリムは「それもそうなんだゾ。」と頷き自分の部屋へ戻っていった。
(なまえ)
あなた
…まぁ別に、ソファでも寝れますし。
(なまえ)
あなた
っていうか一時期は木の上で寝てましたからね…。それよりはずっと良いですよ。
あなたはそう呟くとそこら辺に放置していたブランケットを身体にかけ再び眠りについた。
*      *      *
はいどうも放置しまくっててすみません、カイです()
今日はとあるお方からお願いされたのでこれを含めて5話更新します!…出来るかな()
時間が足りなくなりそうなのであとがきはこのぐらいで。
ではまたっ。バイバイッ。

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