──それは、空で星がちかちかと瞬く夜の事だった。
ダンダン、と扉を叩く音で、あなたは無理矢理夢の世界から連れ戻される。
グリムは「お化けのヤツらか?」とあくび混じりに言っているけれど、気配は人の物だ。
さて一体誰なのか。あなたは玄関へ向かう。
扉の向こうからそう聞こえてきて、追い返すのも面倒なのであなたは扉を開け「どうぞ。」とオンボロ寮に入れる。
あなたの後から来たグリムもエースの首を見て首を傾げる。
しかしエースはその疑問には答えず、その代わりにとんでもない事を言い出した。
あなたはそう言い不満そうな顔をしたエースと夜中に叫ぶ程元気いっぱいなグリムを連れて談話室へ向かった。
所々生地が薄くなっているソファに2人と1匹は腰掛け、そしてあなたは話を促す。
予想外の回答に、あなたは目を丸くする。
むすっとしたまま言うエースに、これは長くなりそうだとあなたはひっそりとため息をつく。
起きていろと言われれば全然不可能ではないが、正直言ってもう寝たい。
しかしこれを放置するわけにはいかないので、あなたは哀れな同級生の話に耳を傾ける。
珍しくグリムがまともな意見を出し、あなたもそれに頷いた。
しかしエースの怒りが収まる事はなく。
エースの言うように考えたらあなたは常に手枷と足枷が付いた状態で生活している事になるのだが、それは一体どうなのか。あなたはそう思う。まぁもちろん口には出さないが。
あなたがそう言ったのを聞いて、エースは言葉を詰まらせる。
1人と1匹から責められ、エースは気まずそうに目を逸らす。
それを見てあなたはため息を1つつくと、こう声をかける。
神妙な面持ちでそう頷くグリムをあなたがジト目で見ていたら、エースがため息と共に「分かったよ。」と言う。
適当に誤魔化してエース1人で行かせる事を考えていなくもなかったが、そう言われてしまっては仕方ない。あなたは頷いた。
もう深夜と言って差し支えない時間の今寮に戻ったらそれはそれで向こうに迷惑だろう。でも…。
そう。特に使う用事が思い浮かばなかったのであなたは必要最低限の部屋しか掃除していないのだ。
どうしましょう…と考えるあなたの隣でグリムは冷たく「自分で掃除しろ。」と言う。
あなたがちょっと煽ってやればエースはすぐにそれに反応しふいと去っていった。
あなたがそうニヤリと笑えばグリムは「それもそうなんだゾ。」と頷き自分の部屋へ戻っていった。
あなたはそう呟くとそこら辺に放置していたブランケットを身体にかけ再び眠りについた。
* * *
はいどうも放置しまくっててすみません、カイです()
今日はとあるお方からお願いされたのでこれを含めて5話更新します!…出来るかな()
時間が足りなくなりそうなのであとがきはこのぐらいで。
ではまたっ。バイバイッ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。