<前回までのあらすじ>
訳の分からないままにNRCに来たあなた。
まぁ面白そうだしいいか、と思っていたが何と魔法が使えるのに使えない人扱いされてしまった!
それだけならまだ良かったのだが魔法の使えない者は入学出来ないと言われ元の世界にも戻せないと言われ散々な目に遭ったあなた。
更に案内された寝床は……?
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年季の入った寮に案内されたあなたはぐるりと辺りを見渡して、そしてため息をひとつつく。
ニコニコ笑顔でクロウリーが言うのを聞き、分かってるなら何でここに案内したんですか…とあなたはため息を吐きたくなる。
が、ここは我慢。住む所があるだけでも有難い、とあなたは何とかポジティブに考えようと頑張る。
クロウリーがそう言いギィ…と軋んだ音を立てながら扉を開け建物の中に入るので、あなたもそのあとについて行く。
それだけ言って戻っていくクロウリーの背中を笑顔で見送ったあと、あなたはふと真顔になる。
この異世界について、あなたは知らない事が多すぎる。
知らない事は、弱みに直結する。そうあなたは教わってきた。
だから、この異世界について調べなくては…とあなたは、先程学園長と言った本に囲まれている空間を思い浮かべていた。
NRCの入学式はなぜか真夜中に行われる。
そのため次の日は1日休み。休みの日の朝早くから図書館に来るような物好きなんてそうそういないだろうし、いたとしても数人。それなら余裕で隠れられる。あなたはそう踏んで、とりあえず今はここを掃除しましょうか……と埃が雪のように積もった部屋を見回した。
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あなたは自分以外誰もいない空間でそう呟き、ため息をひとつ。
ため息を吐くと幸せが逃げると言われたりもするが、だとしたらここに来てからあなたの幸せはかなり逃げただろう。1/3くらい減っているのでは?
そうあなたは気を取り直すと、立ち上がりオンボロ寮を出た。
空は白んできていて、あと1時間、いや、30分もしたら爽やかな朝日と小鳥達がこの世界で眠る者達に1日の始まりを知らせる事だろう。
でも今はまだ静かな学園内を、あなたは静かに歩いていく。
昨日、いや、もしかしたら今日なのかもしれないが、クロウリーと歩いた道はちゃんと記憶している。あなたはその道を辿って校舎に着き、そして図書館に入った。
ちなみに図書館にかかっていた鍵はあなたが魔法で解錠した。このくらい文字通り朝飯前ですよ、とあなたは思っていたが、その鍵がこの世界の基準で言ったら『厳重』のレベルに入るのだという事を幸か不幸か、あなたは知らない。
あなたは天井からぶら下がっているプレートも参考にしながら、必要な資料を探していく。
あなたはそこまで考えて、またため息を吐く。
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あなたは夢中で字を追っていた目を不思議な形をした壁掛け時計に向ける。
見れば、もう2時間強が経過しているではないか。
あなたは慌てて立ち上がると、無人の図書館でバタバタと足音を立てながら本を元の場所に戻していく。
持ち前の記憶力で本を手早く元の場所に帰してあげ、あと1冊、これで最後、というところで、安心したせいか、あなたはやらかしてしまう。
身長が低く背伸びして本を戻したのがいけなかったのだろうか、あなたは本棚に変に体重をかけてしまう。
そのせいで────
とっさに展開した魔法で何とかあなたが本の海に溺れる事は回避出来るだろう、と思った所で、あなたと倒れてくる本棚の間に勇敢に飛び込んできた人影があった。
今回ばかりは大きなお世話となってしまったその人の急な行動に、あなたは先程展開した障壁に魔力を追加で注ぎ込み障壁を大きくする事によってギリギリながら対応しきった。
あなたに覆い被さったままそう言い苦笑いする彼は、NRCの制服を着ている。
どうやらこの学校の生徒であるようだ。教師じゃなくて良かった、とあなたは胸を撫で下ろす。
そして、ちゃんとお礼を述べるあなた。
その笑顔を見て、あなたを助けた生徒はドキッと胸を高鳴らせ、しどろもどろになりながらそう言った。
しかしあなたにはどうして彼がそうなっているのか全く理解出来ていない。なので首を傾げる。
が、そうなりながらもあなたは相手の観察をする。
その人の特徴をひと通り頭に叩き込むと、あなたはクルリと彼の下で彼に背を向けるように回転し、別に腕章を付けてはいないが、カモフラージュとして左腕を右手で覆いながら、彼の下から出て、そして走り去ろうとする。
もしここにいた事が学園長に知らされたら、あなたは最悪追い出される。
それは避けねばならない。あなたは全力で走って図書館を出た。
一応追跡を恐れて複雑なルートを選んだのだが、彼が追ってくる事はなかった。
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あとがき的な何か(読まなくても大丈夫です。)
はいどうも、カイでーす。
今更なんだけど他の人の作品と比べたら1チャプターあたりの文字数多いな…って思いました。
何かキリが良い所まで書こうと思うとこうなるんすよ…何で?
やっとオクタのキャラ…じゃねぇや。えっと、????サンっていう不思議なキャラが出てきましたねー(棒)
次回はフr…じゃなくて、????サンSideのお話かな?って感じです。
それはそうと、続スケアリ3章ヤバいっすね。まだ見てないのあるけどもうヤバい()
絶対見た方がいいですよ。…え?言われなくても見るって?…そうっすよね(((
ではまた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!