第2話

監督生です。この世界について調べます。
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2021/12/05 00:45
<前回までのあらすじ>
訳の分からないままにNRCに来たあなた。
まぁ面白そうだしいいか、と思っていたが何と魔法が使えるのに使えない人扱いされてしまった!
それだけならまだ良かったのだが魔法の使えない者は入学出来ないと言われ元の世界にも戻せないと言われ散々な目に遭ったあなた。
更に案内された寝床は……?

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年季の入った寮に案内されたあなたはぐるりと辺りを見渡して、そしてため息をひとつつく。
(なまえ)
あなた
うわぁ…これは…何というか…趣のある場所ですねぇ……。
クロウリー
そうでしょうそうでしょう。
ニコニコ笑顔でクロウリーが言うのを聞き、分かってるなら何でここに案内したんですか…とあなたはため息を吐きたくなる。
が、ここは我慢。住む所があるだけでも有難い、とあなたは何とかポジティブに考えようと頑張る。
クロウリー
さあ、中へどうぞ。
クロウリーがそう言いギィ…と軋んだ音を立てながら扉を開け建物の中に入るので、あなたもそのあとについて行く。
クロウリー
ここであればとりあえず雨風は凌げるはずです。
私は調べ物に戻りますので、適当に過ごしていてください。
クロウリー
学園内はウロウロしないように!では!
それだけ言って戻っていくクロウリーの背中を笑顔で見送ったあと、あなたはふと真顔になる。
(なまえ)
あなた
さて……。
学園長にはああ言われましたが…僕もちょっと調べたい事があるんですよねぇ……
この異世界について、あなたは知らない事が多すぎる。
知らない事は、弱みに直結する。そうあなたは教わってきた。
だから、この異世界について調べなくては…とあなたは、先程学園長と言った本に囲まれている空間を思い浮かべていた。
(なまえ)
あなた
ですが、今行ったら学園長と鉢合わせる可能性が高いですね…。
よし、あそこには1~2時間後、夜明けに行くとしましょう。
NRCの入学式はなぜか真夜中に行われる。
そのため次の日は1日休み。休みの日の朝早くから図書館に来るような物好きなんてそうそういないだろうし、いたとしても数人。それなら余裕で隠れられる。あなたはそう踏んで、とりあえず今はここを掃除しましょうか……と埃が雪のように積もった部屋を見回した。


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(なまえ)
あなた
はぁ……疲れました……。
(なまえ)
あなた
ここ一体いつから掃除していないんですか?一応魔法使えない事になっている人が魔法で掃除したらまずいだろうからって手作業でやったのが間違いでしたね……。
あなたは自分以外誰もいない空間でそう呟き、ため息をひとつ。
ため息を吐くと幸せが逃げると言われたりもするが、だとしたらここに来てからあなたの幸せはかなり逃げただろう。1/3くらい減っているのでは?
(なまえ)
あなた
まぁでも…掃除を始めてからちょうど1時間30分。予定していた時間になりましたし、行きますか。
そうあなたは気を取り直すと、立ち上がりオンボロ寮を出た。
空は白んできていて、あと1時間、いや、30分もしたら爽やかな朝日と小鳥達がこの世界で眠る者達に1日の始まりを知らせる事だろう。
でも今はまだ静かな学園内を、あなたは静かに歩いていく。
昨日、いや、もしかしたら今日なのかもしれないが、クロウリーと歩いた道はちゃんと記憶している。あなたはその道を辿って校舎に着き、そして図書館に入った。
(なまえ)
あなた
(人の気配はなさそうですね…。まぁこんな早朝から来るわけありませんよね。)
ちなみに図書館にかかっていた鍵はあなたが魔法で解錠した。このくらい文字通り朝飯前ですよ、とあなたは思っていたが、その鍵がこの世界の基準で言ったら『厳重』のレベルに入るのだという事を幸か不幸か、あなたは知らない。
(なまえ)
あなた
(それでは、本を探しますか。)
あなたは天井からぶら下がっているプレートも参考にしながら、必要な資料を探していく。
(なまえ)
あなた
(まずこの学園の現在地やこの世界の基本的な地理については知っておいた方が良いですよね……
あとはこの学園の規則や教育方針とかも知っておいて損はありませんね。あぁこの世界の魔法等の技術がどこまで発達しているかも重要ですね。ズレた感覚で話をするわけにはいきません……。)
あなたはそこまで考えて、またため息を吐く。
(なまえ)
あなた
(やっぱり異世界って面倒くさいですね……。)



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(なまえ)
あなた
(なるほどここでは魔法はともかく科学技術はあまり発展していないと……そう考えるとやっぱり日本ってすごい所でしたね……
…って今何時ですかっ!!)
あなたは夢中で字を追っていた目を不思議な形をした壁掛け時計に向ける。
見れば、もう2時間強が経過しているではないか。
(なまえ)
あなた
(まずいです、もしこの間に学園長がオンボロ寮に来ていたら…っ!)
あなたは慌てて立ち上がると、無人の図書館でバタバタと足音を立てながら本を元の場所に戻していく。
持ち前の記憶力で本を手早く元の場所に帰してあげ、あと1冊、これで最後、というところで、安心したせいか、あなたはやらかしてしまう。
(なまえ)
あなた
これで終わり…ってあっ!!!
身長が低く背伸びして本を戻したのがいけなかったのだろうか、あなたは本棚に変に体重をかけてしまう。
そのせいで────
(なまえ)
あなた
(まずい、倒れてきます…っ。)
(なまえ)
あなた
っ……“障壁バリア”!
????
危ないっ!!
とっさに展開した魔法で何とかあなたが本の海に溺れる事は回避出来るだろう、と思った所で、あなたと倒れてくる本棚の間に勇敢に飛び込んできた人影があった。
(なまえ)
あなた
(っ!?このままじゃこの人が被害に…!
あぁもうっ、仕方ありませんっ!)
今回ばかりは大きなお世話となってしまったその人の急な行動に、あなたは先程展開した障壁に魔力を追加で注ぎ込み障壁を大きくする事によってギリギリながら対応しきった。
????
大丈夫!?…って防御魔法使えたんじゃん…えっオレだっさぁ……。
あなたに覆い被さったままそう言い苦笑いする彼は、NRCの制服を着ている。
どうやらこの学校の生徒であるようだ。教師じゃなくて良かった、とあなたは胸を撫で下ろす。
(なまえ)
あなた
いえ、そんな事ありませんよ。
勇気を出して助けようとしてくださりありがとうございます。
そして、ちゃんとお礼を述べるあなた。
????
っ!?……いや、そんな、大した事ない、よ…。
その笑顔を見て、あなたを助けた生徒はドキッと胸を高鳴らせ、しどろもどろになりながらそう言った。
しかしあなたにはどうして彼がそうなっているのか全く理解出来ていない。なので首を傾げる。
が、そうなりながらもあなたは相手の観察をする。
(なまえ)
あなた
(ターコイズブルーの髪に、右に垂らした黒いメッシュ。右目が金で左目がオリーブのオッドアイは垂れ目。服は着崩していて腕章は確かオクタヴィネル寮のもの。
そして何より…背が高い。かなり高いですね。)
その人の特徴をひと通り頭に叩き込むと、あなたはクルリと彼の下で彼に背を向けるように回転し、別に腕章を付けてはいないが、カモフラージュとして左腕を右手で覆いながら、彼の下から出て、そして走り去ろうとする。
????
はっ!?えっ!?行っちゃうの!?
(なまえ)
あなた
(身長と制服のくたびれ具合から見て恐らく先輩でしょうが…まぁ、お礼言いましたし一応失礼にはあたりませんよね。よし、逃げます。)
もしここにいた事が学園長に知らされたら、あなたは最悪追い出される。
それは避けねばならない。あなたは全力で走って図書館を出た。
一応追跡を恐れて複雑なルートを選んだのだが、彼が追ってくる事はなかった。



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????
何だったたんだろ、あの人……。
????
………………。
????
…ってあっ!!あいつ、片付けオレに押し付けやがったな!?
????
くっそ……。
????
……絶対あいつ見つける。んで文句言ってやろ…。










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あとがき的な何か(読まなくても大丈夫です。)
はいどうも、カイでーす。
今更なんだけど他の人の作品と比べたら1チャプターあたりの文字数多いな…って思いました。
何かキリが良い所まで書こうと思うとこうなるんすよ…何で?
やっとオクタのキャラ…じゃねぇや。えっと、????サンっていう不思議なキャラが出てきましたねー(棒)
次回はフr…じゃなくて、????サンSideのお話かな?って感じです。
それはそうと、続スケアリ3章ヤバいっすね。まだ見てないのあるけどもうヤバい()
絶対見た方がいいですよ。…え?言われなくても見るって?…そうっすよね(((
ではまた。

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