第12話

秘書としての初めての仕事、それは…。
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2021/07/07 11:44
(taiga side)

あれから、北斗さんとは少し距離があるように感じる。避けられてるような……。

なぜたか、胸のあたりがざわざわする。

やっぱり、俺みたいな人間の底辺の人物拾って後悔してるんだろうな。

そんなことを思い始めている。

秘書の研修も無事終わり、夏になった。

執事のジェシーから、とんでもない初めての仕事を言い渡された。

「んん!!なに、今女装って言葉が聞こえたんだけど。何かの聞き間違い?」

ジェ「ちがうよ。来週、社長就任から5年を迎えてさ、その祝賀パーティが開かれるんだ。そこで、何かとココ最近、家の会社に迷惑をかけてくる、深澤という男を捕まえてほしい。」

「ただ、捕まえるだけなのに、なんで女装なの??」

ジェ「ハニートラップ。」

ん?ハニートラップ?

なにそれ、美味しいの??

みたいな顔をしたら、ジェシーの顔がみるみる青くなってきて、

ジェ「え、もしかして大我知らないの??マフィアの人とかがよくやってるアレだよ。」

「ごめん、ジェシー。俺、本とかあんまり読んだことなくて。なにせ生きることに精一杯で。」

あちゃ〜。というように頭を抱えるジェシー。

ジェ「よし!!じゃあ、残りの時間でそういうことに詳しいやつここに連れてくる!!レッスンしないと北斗さん怒っちゃうよ。北斗さんにも一応伝えておくね〜」

そう言って、部屋から出ていった。

“ハニートラップ”

その言葉の意味が気になって仕方な買った俺は、パソコンにその文字を入れた。

出てきた言葉は衝撃的なものだった。


ー《甘い罠の意》機密情報などを得る目的で、スパイが色仕掛けで対象(外交官や政治家・軍関係者など)を誘惑したり、弱みを握って脅迫したりする、諜報活動のこと。主に、女性の諜報員が男性に仕掛けるものをいう。

「え、、、」

つまりは、ああいうことを俺がねだって部屋に連れ込んでってことだよね…。

しかも、女性のって……。

俺男なのに涙


そんなこんなで、心配で心配でたまらなかったある夜の事。


ジェシーが言ってた、そういうことに長けている人が屋敷にやってきた。

ジェ「紹介するよ。こちら、樹。」

今まで見てきた中で一番妖艶かもしれない男、

樹「田中 樹です。よろしくね、きょもくん?」

そいつが俺の運命を揺らがす存在になるとは、

このとき思っても見なかった。


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