柚 「あっ!おはよ〜」
望 「んー」
そう言って歩き出す。
昨日、のんちゃんに好きな人がいるって言われたから
少し足取りも遅くなってしまう。
気がついたらだいぶ先に行かれてしまった。
のんちゃんに好きな人ができる
そんなこと考えたことも無かった。
中学生の頃、
親友の絢音から言われて
のんちゃんのことを少し意識し始めた。
でも自分に素直になれなくって
ずっと否定してきた。
でも、もう伝えてもいいかな、
ある日のんちゃんに彼女できたって言われたら
私どうなっちゃうんだろう?
考えるだけで嫌な気分になる
そっか、わたしって、
のんちゃんのことが
好きなんだ。
いや、
大好きなんだ。
もう、ブレーキかけたままじゃ
のんちゃんには気づいてもらえない。
前に好きになった先輩、
今思えばのんちゃんが好きって認めなくなかったから
自分に嘘ついてたのかも、
でも今は違う。
柚 「よし、」
そう言って、
数メートル先の
君の"隣" まで
走り出した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。