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第1話

#1 出会い
70
2019/04/16 09:46
疲れた。どれくらい歩いただろう。
あといくらお金残ってるかな。
疲れた。疲れた疲れた疲れた疲れた、、!

少し寝よう。

あなたは丸三日間何も食べず、水だけで歩き続けた。
15歳のあなたの身体は既に限界を超えていた。

東京都大田区のとある路地裏で三日間ぶりの眠りについた。


???
大丈夫?
微かに声が聴こえた。

あなたは重い瞼を開き、しっかりと前を見た。

男だ。
二人組の黒い男。
その身体にはいくつものタトゥーが刻まれており、二人とも黒いサングラスをかけていた。
you
お兄さんたち助けて!
あなたはいつも通りの甘えた声で言った。
???
お前、そうゆう人間じゃねーだろ
ちっ。バレたか。
you
てか、あんたたち誰?
あなたは強気に言った。
黒崎
俺は黒崎。で、こっちは隼人。
“隼人”というドレッドヘアーの男は軽く会釈をした。
you
どうして私なんかに声かけたの?私を買ってくれるつもりがないなら、さっさとどっか行って
黒崎
買う?まぁよくわかんねぇけどどっか行くのは無理。
you
どうして?
あなたは食いぎみに聞いた。
黒崎
とりあえず家来い。飯食ってねぇんだろ。
you
なに?誘拐?まぁその方が助かるか。帰るとこ無いし。
そのままタクシーに乗ってその男の家へと向かった。
黒崎
あがって
意外にも広い家。
高そうな一軒家。
隼人
ちょっと待ってて、今なんか作るから。
このドレッド男、料理なんか出来んのかよ。
隼人
はい、食べて
you
炊きたてのご飯に、ワカメのお味噌汁。
ふわふわの卵焼きに、ほうれん草のおひたしまで、、。
you
なに、これ、。
家でのご飯はいつだって菓子パンに水道水。ときどき、雨水。
久しぶりすぎる。こんな美味しそうなご飯。
自然と涙が溢れた。
隼人
え、なんで泣いてんの?
隼人
あ、なんか美味しくなかった?ごめ、、
you
ごめん。ちょっと出てくる。
あなたは思わず家を飛び出した。
you
お母さん、、、。
同じだった。
あの味噌汁の味が。

遠い昔、父が出ていく前の優しかった母の味噌汁の味と。
黒崎
出てくの?まぁいいけど。
あなたはなにも言わず、黒崎の後について家に戻った。

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