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末澤side
最近、あなたちゃんに内緒でバイトを
始めたんや、
コンビニのバイト。
あなたちゃんにバレないように昼間のシフトで
あなたちゃんが帰ってくる前に家に帰る。
「 末澤くん、今日30分だけ長くいてもらっても
大丈夫?」
でも、今日は違った。
どうやらいつも自分の後に入る子が
熱を出してしまい来れないらしい…
まあでも30分だけなら、と承諾。
人が途絶えた隙に、外のゴミ箱のごみ捨て。
重い…、
ああ、雷がなってるみたいだな、
雨も強くなってくるんかなあ。
そんなことを考えていたら30分経ってて
俺は歩いて家に帰る。
今日は初の給料日。
初任給の使い道はもう決めていた。
末「 あなたちゃんの好きなケーキ、」
近くのスーパーに売っている2つ入りのケーキが
大好きなあなたちゃん。
喜んでくれる顔が目に浮かぶ。
はよ帰りたい!!
レジに並ぼうとお惣菜コーナーを曲がると
今1番会いたい人。
思わず名前を呼ぼうとして、ハッとした。
『 正門、幼稚園でいじめられてよく泣いてた笑 』
正門。ああ、正門。
あれ、俺は勘違いしてたんか、
よく考えたら付き合ってるのかも微妙。
あなたちゃんが俺の事好きなのかも微妙。
俺のことなんてただの居候としか思ってないの
かもしれない。
しばらく呆然と立ち尽くして、気がついた時には
もう2人はいなかった。
とりあえずケーキだけ買って、また帰路につく。
部屋の明かりはもう着いていた。
末「 ただいま 」
『 誠也くん、どこ行ってたの 』
末「 ん?ちょっとね、」
『 あ、さっきそこのコンビニにいた? 』
末「 …え、なんで知ってるん 」
『 さっきね、帰ってくる時見たの
そっくりだなあと思って、
やっぱり誠也くんやったやねぇ 』
妙に上機嫌でキッチンに立つあなたちゃん。
不意に正門と楽しそうに話している光景が浮かぶ。
そんなこと忘れようと頭を振って
家に入る。
末「 あなたちゃんこれ、」
『 ん? 』
帰りに買ったケーキ。
『 あ、これ! 』
あなたちゃんはみるみる笑顔になっていく。
『 誠也くんが買ったん? 』
末「 うん、俺、バイト始めてん 」
『 え、バイト? 』
末「 一緒に住んでるのに、生活費とかなにも
払えないのはダメやと思って… 」
『 そんなん、考えてたん、』
あなたちゃんはすぐケーキ2つともお皿に出して
テーブルに運んでくる。
末「 今月はちょっと少なかったけど、
来月からはちゃんと俺も払えるように
頑張るから 」
『 あり、がとう、』
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。