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morning 🌞
『 ん… 』
カーテンからさす朝日の光で目が覚めた。
そうか、今日は土曜日。
とはいえ、編集部の仕事は休みの日にも
持ち込まれる。
やるかあ、とベッドの上で伸びをした。
ふと横を見ると、同じく朝日を浴びながら
気持ちよさそうに寝ている彼を見る。
金色の毛が太陽に照らされてキラキラしてる、
こんなに金髪なのに髪の毛は傷んでない。
前に誰かに飼われてたのかな、なんて
考えてみたりして。関係ないか、と我に帰れば
お腹が空いてきて、朝ごはんを作ろうと
立ち上がった。
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キッチンに立って、冷蔵庫の中身を確認する。
あ、昨日夜ご飯食べてないんだ。
トーストでいっか、なんて思いながら
食パンを2枚だしてトースターに放り込む。
あ、でもドッグフードじゃなくて
いいんだろうか。ま、いっかと温度のツマミを
捻る。
ジジジジ…と音が鳴り始めると
寝室のドアがガチャッと開いた。
『 おはよ、』
「 おはよお… 隣にあなたちゃん
おらんかったからびっくりした、
起こしてくれたら良かったのに… 」
と、目を擦りながら掠れた声でいう誠也くんが
なんだか可愛くて、くすっと笑みが零れた。
「 かわいい、」
『 え? 』
「あなたちゃんの笑った顔初めて見た、」
『 そりゃ、私も笑うよ 』
「 そっちの方がいい、」
『 そ、そう、? あ、トーストでいい? 』
「 うん、ありがと 」
寝起きでテンポの遅い会話がなんだか
心地よかった。
それに かわいい って言ってくれたのが
嬉しかった。昔から私は「しっかりしてるね」
とは言われるけど「かわいい」とは無縁だった。
そんなこともあっていつの間にか笑うのも
忘れてたのかもなあ。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!