第7話

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2021/08/19 16:27
?「だから名前わかんないの?」



なぜ刺々しい態度を取られているのか理解できなかった。すぐに答えなかった私への嫌味なのか。





どのような理由にせよ、こんな言い方はどうかと思う。







あなた「吉田です。」(苗字吉田にします。)






困惑しつつも正直に自分の名前を告げる。





多少口元では引きつってしまったけどなるべく顔に出さないよう心がけた。





あまり揉めたくはない。





すると、目の前の男の子は眉間に皺を寄せて深く刻んで心底嫌そうに言葉を吐き出した。




?「迷ってんなら帰れよ。」




言葉を返すよりも先に彼は店内に戻って行った。





初対面にあんな態度を取られたのは生まれて初めてであった。






戸惑ったものの、すぐに腹だしさを覚える。自分の言動を思い返しても、私が彼に対してなにか失礼なことをしたとは思えない。失礼なのはむしろ相手の方だ。









おそらく店員である私が、お客になるかもしれなかった私に向かってあんな言い方をするのは非常識で、不快感が込み上げてくる。





怒りがふつふつとわき弁当が入ったトートバックを強く握りしめた。





先程まで入る気無かったのが嘘だったように、私はさびた丸いドアノブを回して扉を開けた。






かわいたベルの音を響かせて店内に足を踏み入れると、そのには橙色の暖かな世界が拡がっていた。






カウンターには2人の女性が座っている。
カウンターに囲まれた調理場には、先程の男の子と、丸メガネをかけたおじいさんがいた。









?②「いらっしゃい」

私に優しく声をかけてくれた丸メガネのおじいさんは白いシャツの上に黒のベストを着ている。オレンジジュースをグラスに注いでカウンターにいる女性に出していたので、ここの店員さんみたいだ。




?「……来たんだ」


先程の男の子が嫌そうに顔を歪ませて私を睨みつけた。すかさず店員のおじさんに






?②「こら、そういうことを言ってはいけないよ」とたしなめられている。





?③「可愛らしいお嬢さん、お名前は?」


そう聞いてきたのは、カウンター席にいる20代前半くらいの金髪の女の人だった。












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