第63話

狂おしい62日目
650
2022/03/11 08:00
それからは至って平凡に過ごした。そして、気付いたら大学卒業が間近になっていた。今日は、俺とジョジョが所属しているラグビー部の引退試合の日である。



当然だが、あなたに「是非見に来てくれ」と頼んだ。あなたが見てくれていると思えば、全力でプレー出来るからだ。



試合開始直前、「用を足しに行く」とそれらしいことを言って少し部室から抜けた。理由?そんなもの、あなたに会いたいからに決まっている。



暫く歩くと、エリナと一緒にやって来たあなたが目に入った。なんだかいつもより洒落た服を着ていて、複雑な気分だ。



大股であなた達の元に歩む。周りの奴等より背が高い俺は目立つらしく、2人はすぐに俺に気付いた。
エリナ·ペンドルトン
あら、ディオ
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
ディオー!こっちこっち!
そう言いながら大きく手を振るあなた。そんな行動にすら愛おしさが込み上げて、俺はあなたの元まで走った。



あなたは、俺が来るなりパッと笑顔を浮かべて「頑張ってね!」と言う。やっぱり、そこらの奴の応援とあなたの応援とでは何もかもが違う。



あなたは、ゴソゴソと鞄を漁り始めた。何かあるのだろうか。すると、あなたは鞄から水筒のようなものを2本取り出して、俺に手渡した。
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
これ、エリナと一緒に作ったスポーツドリンク!ジョジョとディオに一本ずつね!
エリナ·ペンドルトン
少ししょっぱいかもしれないけど…。
ディオ·ブランドー
態々作ってくれたのかい?嬉しいな、ありがとう
そう微笑みながら言うと、あなたは嬉しそうに頷いて「うん!」と言う。あなたのこの子供っぽさがまた可愛い。



そこらの奴だったら間違いなく嫌悪を抱いていたと思うが、あなたのこの話し方や態度に嫌悪なんて微塵も感じなかった。



寧ろ、初めてあなたに出会った時の俺に「何故あなたの魅力が分からないのだ」と言って殴ってやりたいくらいだ。
ディオ·ブランドー
おっと、そろそろ行かないといけないな
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
そっか、頑張ってディオ!エリナといっぱい応援するからね!
ディオ·ブランドー
ああ、頑張るよ、そしたら行ってくる
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
うわっ、ディオ?
少しくらい良いだろうと、ここぞとばかりにあなたを抱き締めた。最近はあまりあなたに触れられていなかったから、ここのところあなた不足だったのだ。



ビックリしたあなたは小さく悲鳴を上げたが、すぐに腕を回して、背中を優しくトントンと叩いてくれた。全く、恋人でもない男にそんなことをして良いのか?警戒心が無さすぎる。



それでも、ジョジョ以外の奴にもそう言う風に接してくれるあなたが、俺は何より好きだ。

プリ小説オーディオドラマ