さて妥協したところで話を始めようとしたその時だった。あなたの存在に気付いたジョジョから邪魔が入ってしまった。
そう言って照れ臭そうにしているジョジョ。やはり確実にあなたに恋をしている。誰がどう見ても確実だ。現に召し使いの人達も微笑ましそうな顔をしている。
全く、丁度良いタイミングで邪魔をして来やがって…この後話しかけられるかどうかも分からないのに。まあ上手いこと話しかけてやるのだが。
そしてここで俺はあなたが如何に馬鹿女なのかを知ることになる。
ジョジョのすぐ隣であなたも一緒に勉強をしているのだが全く分かっていない様子だ。俺達と同じ本で勉強しているので内容は同じ筈だ。
ジョジョもジョジョで同じ間違いを6回もしてジョースター卿に叱られているがまだジョジョの方がマシだと思えるくらいにはあなたは分かっていない。
こんな簡単な問題をどうすれば間違えるのか、俺にはサッパリ分からない。やはり馬鹿とは馴れ合えないな。
しかしその後の様子を見てみればあなたは別に根っからの馬鹿女と言う感じではないのかもしれないと思える。
まあ正直ジョジョとはどんぐりの背比べと言ったところではあるが、時々ジョジョが解けなかった問題をあなたが解いていたりすることもある。
基礎が分かってはいるが応用になると出来ないのだろう。まあ見た感じそもそも基礎から分かっていないものもありそうな様子だが。
それにしても2人とも随分と仲が良さげだ。距離感が可笑しいのではと思うほどには近距離で勉強している。と言うかもう殆どくっついてるだろ。
あの2人の仲を裂くのはかなり時間がかかる予感がする。あの2人の間には誰にも裂けない絆のようなものが存在していると思った。
暫く勉強すると、ジョースター卿の指示でこの日はもう終わることになった。全く、馬鹿2人のやりとりを聞いて実に不愉快な時間であった。何であんな基礎問題が解けないんだか…呆れるな。
さて今度こそあなたに話しかけようと近付くと、あなたはジョジョの名前を呼び鞄を漁り始めた。
そう言って心底嬉しそうな笑みを浮かべるジョジョの手に握られている袋からはそれはそれは良い匂いがしてくる。思わず食欲が沸いてしまう。
するとジョジョはあなたの後ろの俺に気付いて「あっ」とすっとんきょうな声を上げると、袋を少し上げて「ディオも一緒に食べようよ!」と誘ってくる。
別にあなたが作ったクッキーなんぞ食べるつもりは毛頭ないが、キッパリと断ってはあなたを傷つけてしまう。
流石に失礼だろう、この場ではそう言うことは言わない方が今後にとってもベターだ。
そう励ますジョジョ。こんな状況になってしまったら俺がそのクッキーを食べなきゃならないじゃあないか。
あまり甘ったるいものは好きじゃないんだがな、と思いながらも仕方なくジョジョと一緒にそれを食べた。
1口頬張った時俺は思わず驚いた。それは今までに食べたことのない味がするクッキーであった。こんなに美味しい物が存在するのかと思う程に。
勉強面だけで見ればあなたはただの馬鹿女だが料理は出来ると言うことか?やはり根っからの馬鹿ではないのか。
そう思いながらあなたの方を見やれば、ジョジョに誉められて嬉しいのか恥ずかしそうにしながら座っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。