結局僕はあなたの元に行けないまま11歳になってしまった。一体あなたは今どこでどうしているだろうか。
そう思いながら町中を歩いていると、周りの人達が僕を見て「ああ…狂ったあの子が…。」とヒソヒソと話し始める。僕は聞こえないフリをして無視をした。
あれから僕はこの辺りの大体の人達に「狂った子供」として知られていった。あなたがいなくなってからと言うもの僕は精神的な異常を来たし始め、自分でも驚くくらいの奇行をするようになったのだ。
勿論犯罪行為はしていない、断じて。だが家では明らかに挙動不審になっていた。父さんによれば、1人でいる時はずっとあなたの名前を連呼していたらしい。
食事の時もボーッとしていて全然食べ進まないし、勉強も集中できていないし、かなりの頻度で急に過呼吸になり、吐血したこともあったらしい。
あまりにも酷いので精神科の医者にも見て貰ったけど、内科の病気は何一つ見つからなかった。ストレスではないかと言われた。
確かにストレスを抱えている。僕は今大きなストレスを抱えている!!それが何かなんて、言わなくても分かるだろう、あなたがいないことだ。
全くどうしたものか、と父さんが頭を抱えた。なんだか父さんに迷惑をかけてしまって申し訳無い。しかしあなたがすぐそばにいないことには落ち着かないんだ。
そんな矢先だった。召し使いの人が大声で「えぇーッ!?」と叫んだのは。何かまずいことでも起こったのかな…?
そう思っていると、召し使いの人がバタバタと慌てて部屋に駆け込んできた。相当焦ったのか少し汗をかいていて、肩で息をしていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。