第30話

狂おしい29日目
892
2021/08/18 10:46
次の日の朝。昨日の男がどうしても気になったため、朝食を食べてから急いであなたの家に行った。俺が出ると丁度ジョジョも焦って出てきた。



この様子だともしやジョジョも昨日のあの男を見たのだろうか。ジョジョもあなたが好きなんだし、窓の外から見えるあなたの家を見ていても可笑しくはないだろう。



ドアをノックする。しかし、中から返事はなかった。何故。当然ドアの鍵は閉じられているから入れそうにない。試しに窓側に回ったが人の姿が見当たらなかった。
ディオ·ブランドー
あなたは…まだ寝ているのか…?
ジョナサン·ジョースター
いや、そんな筈はないよ、流石にこの時間になったらあなたはいつもリビングで朝ごはん食べてるし…。
ディオ·ブランドー
そうか…では何故…。
不法侵入は流石に問題なのでしなかったが、心配でたまらなかった。何故あなたから返事がないのか。後で2人であなたの名を呼んだがそれでも返事はなかった。やはり寝ているのかもしれない。



しかし、俺の脳内に突如引っ掛かった物があった。昨日あなたの家で見たあの大きなスーツケースだ。もしや今朝早くに旅行か何かに出発したのではなかろうか。



ではあの男は……同行者…?何故俺じゃないんだ。随分心を開いているように見えたが、旅に連れていくほど仲が良いのか?
ジョナサン·ジョースター
……そうだ、父さんに聞いてみるのはどうかな!
ディオ·ブランドー
なるほど…あまり期待は出来ないけど、聞いてみるか
一旦家に帰った俺達はすぐにジョースター卿の部屋に駆け込んで先程までの事情を簡単に説明した上で何か心当たりがないか質問した。



ジョースター卿は何か思い当たる節があるような顔をしたが、すぐに首を横に振って「あなたに言われているから、ジョジョ達には教えてあげられないんだ」と返された。



その返答を聞いて、俺は「案の定」と思った。前に聞いた時もそんな感じで教えて貰えなかったからだ。何故あなたは秘密にしたがるのだろうか。



しかし俺はここでジョジョの狂った姿を目撃した。ジョースター卿からの答えを聞いたジョジョは突如下を向いて呼吸を荒くし、ワナワナと震えだした。情緒不安定とかそう言う次元じゃあなかった。



ジョジョは涙を流しながら真っ直ぐジョースター卿を見て早口で話し出した
ジョナサン·ジョースター
や、やだ、そんな、あなたが、また僕の知らないところに、行っちゃったなんて、いや、嫌だよ、僕そんなの嫌だよ、
ジョースター卿
大丈夫だから、落ち着きなさいジョジョ
ジョナサン·ジョースター
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だあなたあなたあなたあなたあなたあなた……僕、どうしたら…。
ジョースター卿
心配ない、あなたは引っ越したんじゃあないからそのうち帰ってくるぞ
ジョナサン·ジョースター
う、うう…ッ。
鳥肌が立った。ジョジョがあなたに惚れていることは知っていた。しかしジョジョがあなたのことになってここまで狂うとは全く思っていなかった。



あんなただの間抜けがあそこまで狂うなんて、と不覚にも驚いてしまった。目から光が消えているし、ジョースター卿にいくら慰められても泣きながらあなたの名前を連呼している。



偶々噂で「ジョジョはただの子供じゃあない、狂っている」なんて噂を聞いていたがどうでも良かったので無視してきた。だがどうやらそれは事実だったらしい。



あなたが余計に恐ろしい女に思えた。

プリ小説オーディオドラマ