ディオside
ここ最近ジョジョがあなたといるところをよく見るようになった。俺とあなたの時間が減るのでかなり不快だ。
ある時は河原で水遊びをし、ある時はうちで一緒に勉強をし、ある時は草原で昼寝をし、2人でいるところしか見かけない。何より、その時あなたもジョジョも幸せそうな顔をしているのが本当に憎い。
何故ジョジョはそこまであなたに固執するのだ。お前にそんな暇があると思うのか?と心底問いたい。まともに勉強も出来ない癖に。
そう思いながら、今日も今日とて2人で楽しそうに手も繋いで散歩しているところを見ていた。あまりにも不快なあまり後ろから追いかけると言う一種のストーカーのようなことをしてしまっている。
全く、ジョジョと言いあなたと言い無自覚なのか?特にあなたは。お前と一緒に話していた友達らしき女が「ジョジョが好きだ」とか言っていたのにそんなことして良いのか?
そんな疑念を抱きながら追いかけていると、そのうち町まで出てきた。この辺りはジョジョの家に行くまでの道中で見ただけの景色だからあまり馴染みがない。
すると、何やら知らない男が数人2人に近付いた。聞いてみれば、そいつらは「ジョジョと一緒にいない方が良い」とか言い出した。
アイツらは元々ジョジョの友人であったが、ジョジョを何の生き甲斐もないフヌケ人間にするために適当に悪口を吹き込んでおいたのだ。まさかここで役に立つとは。
あなたはそのことを聞いて憤慨したらしく違うと言いたげに首を横に振る。
あなたが涙ながらにそう大声で叫ぶ。随分勇気があるらしい。あなたのことだ、まさか俺が流したなんて思わないだろう。馬鹿だからな。
にしても横にいるジョジョと言ったらどれだけ情けないんだ。あなたのことが好きなら守ってあげるべきだろ、自分のために泣かせるか普通。
全く、そんな風に言ってもらえるなんて良いご身分だなジョジョは。しかしそう思っていたのも束の間、あなたは男達に「うるせぇ!」と怒鳴られ顔を殴られた。
大きくバランスを崩してジョジョに倒れ込むあなた。殴られたところが真っ赤になっている。すると、男は続けた。
「聞いたぜ?お前なんでもあのオウガーストリートの出身らしいな!お前みたいなばっちい奴は早くそこへ帰れよ!俺らにまで変なウイルス持ってくんじゃあねぇ!!」
そう周りの人にも聞こえるほどの大声で叫んだ男。その話に反応した周りの奴等は一斉にあなたの方を向いて死体でも見たような顔をした。
「あのオウガーストリート出身だって?」
「私まで感染症になってしまうじゃないの、早くここから消えなさいよ!」
「おめーきったねぇ!失せろよ!」
あなたに飛んでいく一つ一つの言葉はジョジョだけでなく、俺の怒りを煽るのに十分すぎた。俺が怒鳴る前にジョジョが先に行動に出た。
そう言って目の前の男をぶん殴ったジョジョ。ジョジョはパワーがまあまああるらしいので結構なダメージになったであろう。
殴られた男達はその後すぐに逃げていった。周りの奴等はこの状況に見て見ぬふりをするように、何事もなかったかのように歩いていってしまった。汚ならしい奴等め…。
ジョジョはあなたの元に歩み寄ったが、あなたはずっと泣いていて、なかなか泣き止まなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。