第17話

狂おしい16日目
1,191
2021/07/16 11:37
突然涙を拭かれたことに驚いたあなたは少し肩を跳ねさせて俺を見る。ジョジョから目を離したので喜びの気持ちが出てくる。



あなたはあなたで抵抗することもなくされるがままになっているのでそれが実に可愛らしかった。



今まではあなたに対してこんな気持ちになるのを「あり得ない」と誤魔化してきたが、恋であると自覚してしまったからにはもう隠さないことにした。



それにジョジョもあなたが好きなのだ。自分の気持ちにある程度素直にならなくては、素直なジョジョにあなたが取られてしまう。



出来るだけあなたに優しく接し、あなたに「ジョジョよりもディオの方が良い」と思って貰えるようにしなければ。



あなたは好きな人が誰なのか分からないと言っていたが、きっとジョジョからアプローチを受ければ関わりが長く沢山のことを知っているあなたはジョジョを選ぶ筈だ。



それだけは避けねばならない。あんなマヌケにあなたを取られてたまるか。お前みたいなアホにあなたを守れる筈がないじゃあないか。
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
そ、そしたら…帰る…。
ジョナサン·ジョースター
じゃあ送……
ディオ·ブランドー
僕が送るよ、"この間も"送ったしね
そう言って遮る。ジョジョは驚いたようなマヌケ顔で俺を見た。その顔を見てると本当に腹が立つ、辞めろよなそんな顔をするのは。



さりげなく「前にも送ったんだぞ」と言うアピールをしながらあなたの腕を引いて屋敷を出た。ジョジョはマヌケ顔のまま俺達を見ていた。



あなたはずっと申し訳なさそうな顔をしていた。俺が触れていることに対してそのような気持ちになっているのだろう。そんな風には思わないで欲しい。



あなたを驚かせてしまうかもしれないが、ここは伝えなくてはならないと思い、途中で立ち止まった。
ディオ·ブランドー
…あなたの話、ジョジョから聞いたよ
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
え…!?どうして、私ジョジョに内緒ねって言ったのに…。
ディオ·ブランドー
ああ、あなたのことが心配で心配で…僕からジョジョに教えて欲しいと言ったんだよ
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
う、うん…。
そう言って俯くあなたの手は震えていた。こっちから見て良く分かるくらいに冷や汗をかいていて、いかに不安なのかを物語っている。



この反応を見るに、きっとあなたは過去に酷い差別を受けたのだろう。まだ受けたことの無い差別を怖がっている反応であるとするなら相当大袈裟だ。



俺が知らない間にあなたにそう言うことをしていた奴がいると思うと心の底から腹が立ってくる。ソイツらを殺してやりたい、お前らみたいな奴がいるから差別は無くならないんだ。



俺は怒り心頭であったがあなたを落ち着かせることが最優先だと冷静に判断し、あなたの腕を強引に引いて抱き締めた。
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
え、ディオ…?
ディオ·ブランドー
あなた、僕は君がどこの出身であろうと君が今までされたようなことはしないよ
ディオ·ブランドー
あなたはあなたなんだ、生まれた場所なんて関係ないだろ?
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
ディオ…。
そう弱々しく言って啜り泣くあなた。俺が背中を擦ってあげると暫くして漸く落ち着いた。顔を上げたあなたは「あ…。」と小さな声で言った。
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
どうしよう…ディオの服…涙でびしょびしょになっちゃった…。
眉を下げて「ごめんね…汚いよね…。」と言ったあなた。何も汚くない、寧ろダイヤモンドみたいに綺麗だったと思う。



それに、不思議なことにあなたが泣いているところを見た時何かが疼いた。言ってしまうと、「もっと泣かせたい」と思ってしまったのだ。



僕は相当まずい思考を持っていたらしい。あなたを好きにならなければこんな感情に気付くことは死ぬまで無かっただろう。
ディオ·ブランドー
大丈夫、また洗えば良いだろ?それに、あなたの涙は汚くないよ
そう言ってまたあなたを抱き締める。だが俺の心中にはずっと「またあなたの泣き顔がみたい」と言う加虐心が渦巻いていた。

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