第28話

狂おしい27日目
926
2021/08/03 08:06
いじるのはやめて、自然に話の流れを作ろうと考えた俺は向こうに置いてあった大きなスーツケースに話題を移した。
ディオ·ブランドー
そう言えばあのスーツケース、随分大きいけど、旅行にでも行くのかい?
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
あ、それずっと使ってなくて汚れちゃってるからお掃除しようと思って出したの!
掃除するためか…まあ言われてみれば確かに結構埃を被って汚れているとは思うが…だが見た感じ嘘をついている感じは……と思ってあなたを見やると、あなたの耳が少し赤くなっていた。



真っ赤な嘘をついた感じではないが、それでもやはり何かを隠しているように見える。こんな大きなスーツケース、やはり何かの機会がなければ出さない筈だ。



あなたの奴、もしや……引っ越しでもするのか?だが俺の「旅行にでも行くのかい?」と言う質問に対して拒否はしていない。やはりどこか旅にでも行くのだろうか、それも一人で。



何故教えてくれないんだ。気になって仕方がない。あなたがどこかに旅行に行くと仮定したとして、不安な要素しかない。あなたは夜でも一人で外出するような女だ、変な男に出会って襲われたりしたらどうするんだ。



もしや一緒に行く人がいるのか?まさかジョジョだとか言ったりしないだろうな。だがジョジョにもそんな様子は見られなかった。ジョジョは素直だからそう言うことがあれば「楽しみ」と言う感情が丸出しになってすぐ分かる筈。



いやだがしかし!それでもあなたが一人で旅行に行くか?あなたは不用心だから確実に誰かと一緒でなければ危険すぎる。誰かが同行する可能性は十分ある。



しかし誰と行くんだ?やはりジョジョか?ジョースター卿と話していたと言うことはやはりジョジョと一緒に行くのか?ジョジョは本当はあなたと旅行に行くことになっているが上手いこと隠しているのか?



いや、あり得ん。ジョジョはそこまで器用な奴じゃあないし、俺はそう言うのはすぐ見抜けるからジョジョが隠せるとは思えない。何なんだ、実際のところどうなっているんだ……
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
__オ!ディオ!
ディオ·ブランドー
あっ、ごめん、考え事しちゃってて…。
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
それは良いんだけど、大丈夫?なんか怖かったよ…?目がこんな感じで…
そう言ってその時の俺を再現しようとくりくりした目を一生懸命細めてそれらしくするあなた。そのうち手で眉を無理矢理吊り上げて「こんなんだったよ!」と言った。ガキかお前は。



なんだかこんなあなたを見ていたら険しくなっていた気分が落ち着いてきた。何なのだあなたは。最初ただの馬鹿女だと見くびっていた自分が馬鹿だったのか。
ディオ·ブランドー
フフッ、大丈夫さ、何もないよ
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
ほんと?怒ってない?
ディオ·ブランドー
なんにも怒ってないさ、なんにもね

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