戻れば食べ終わって部屋に戻ろうとしていたジョースター卿に顔が赤いことを心配されたが問題ないとだけ返しておいた。
全く何なんだあなたは…ただでさえ記憶から消えなくて苛立っていると言うのに余計に記憶に残るようなことをしやがって…!
そんな怒りと共にもうすっかり冷めてしまっている残りの夕飯を食べようとした。しかしあなたの影響はここでも出てきて、
誤って食べようとしたものを皿の上にボトリと落としてしまった。俺までジョジョと同じようになってしまうではないか。
しかしその後もそう言ったことが続き、食べ終わるのになかなか時間を要してしまった。嫌なひとときだった。
ドアの向こうからはいつの間にか忘れ物を回収したのであろうあなたとジョジョが楽しそうに談笑する声が聞こえた。
呑気に談笑なんてしやがって、俺の気も知らずに。まあそんな風にいられるのも今だけなので我慢してやるがな。
それにしても気になることがあった。何故なのかは全く分からないが、あなたがジョジョといることに物凄く嫌悪感を覚える。
何故なのだろうか、こんな気持ちになるのは。ジョジョに「あなたと離れて欲しい」と思い、あなたには「俺のところに来て欲しい」と思ってしまう。
なんとか変な気分のまま食べ終わると、俺の変な気持ちを察したかのようにあなたがやって来た。
急いで呼び止めたがあなたはいそいそとジョジョの方に行ってしまった。
(もっと一緒にいたかったのに)
そんな俺ではない別の人格のような何かがそう本音を呟く。全く、何が「もっと一緒にいたかったのに」だ。馬鹿は嫌いなんだ、そんなわけあるかアホ。
だが体は正直で、あなたの出ていった方にスタスタと早足で歩いていってしまう。一体俺は何をしているんだか。
矛盾した行動をする自分に呆れながら進めば、丁度あなたがジョジョと共に玄関を出ようとしている所に来た。
またジョジョはあなたを家まで送るのか?一体ジョジョはどこまであなたと一緒にいようとするんだ。
(これでは俺とあなたの時間ができないじゃあないか)
そう"本音"が言った。別に!俺とあなたの間に2人の時間ができなくなって良い!いらんそんなもの!そんなものより俺はもっと欲しいものがあるんだからな!
そう鼓舞して自室へ戻った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!