第16話

狂おしい15日目
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2021/07/12 06:24
ジョナサン·ジョースター
実は……あなたはオウガーストリートの出身なんだ
ディオ·ブランドー
オウガーストリートって、まさかあのオウガーストリートかい?
ジョナサン·ジョースター
そうだよ
オウガーストリート。あの町は本当に評判が悪い。感染症が止まないし、あの薄暗いスラム街には浮浪者や犯罪者が多く集っている。



あなたはあんな危険な町で生まれ育ったと言うのか?恐らく俺達と同い年。あの年齢になるまで、あなたはあの町にいたのか?



ジョジョの話を聞いてみたのだが、あなたは小さい頃両親の仕事の都合でこの町に一時的に引っ越してきて、その際に仲良くなったらしい。



だがまたオウガーストリートに戻り、暫く会えない日々が続いていた。そして最近になってまたこの町にあなた1人で戻ってきたのだそうだ。
ジョナサン·ジョースター
僕もあなたがあの町出身なのは最近知ったんだ…。
ディオ·ブランドー
今まで知らなかったのか?幼馴染みなのに?
ジョナサン·ジョースター
うん、父さんがどこの出身か聞いても頑なに答えようとしなくて…。
それはどう考えても言いたくなかったと言える。何せあの町は兎に角治安の悪い町だから、あの町からやって来た人は酷い差別を受けるだろう。



あなたはそれを恐れて言おうとしなかったのかもしれない。俺も貧乏だったから昔はもっと汚い町に住んでいたがあの町は比べ物にならない。



きっとそれで差別を受けていたのではなかろうか。あなたは何の感染症も持っていない健康な人だと思うが、あの町出身と言うことで持ってもいない感染症を持っていると扱われてきたのだろう。



だからさっきはあんな反応をしたと言うことか?自分が汚いと思っているから俺に触れられた時あんな風に泣きながら言ったのか?俺は全く嫌じゃあなかったぞ。



兎に角あなたは俺から差別的な言動や行動を受けることを恐れてそう言ったわけだな、漸く分かった。あれは見た感じ精神的に相当来ているだろう。



あなたの負った傷は相当大きいはずだ。俺は今すぐにでもあなたを抱き締めて「俺は決してそんなことは思わない」「あなたはあなたであって、生まれた町なんて気にしないぞ」と言ってあげたい。



急な"あなたに会いたい"と言う衝動に駆られた俺に味方するようにあなたはやってきた。泣き晴らしたばかりなのか目元が真っ赤だ。肌が白いから余計に目立つ。
ジョナサン·ジョースター
え、あなた!?大丈夫かい!?
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
あの、さっきは…ありがと…これ、
ジョナサン·ジョースター
態々クッキーを…そんな、無理しちゃあダメだよ!
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
でも、お話聞いてくれたから…。
またあなたはジョジョと話す。俺が目の前にいてもあなたはジョジョのもとに行くのだ、実に面白くない。そう思ってムッとしていると、
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
ディオも、ごめんね…いらないかもしれないけど…。
と言ってジョジョと同じ袋を差し出したあなた。どうやら俺の分まで用意してくれていたらしい。嫌な気分がサーッと晴れていくのが分かった。



"あああなた、泣くんじゃあない。可愛い顔が台無しになってしまうぞ"



……そうだ、俺はあなたの笑顔が見たいんだよ。いつの間にかなり"本音"に従順になっていたらしい俺は、まだ涙で濡れている目をハンカチで拭いてやった。

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