第40話

狂おしい39日目
858
2021/09/15 11:42
あなたの想定外の反応にたじろいだ俺は思わずそっぽを向いた。落ち着かねばならない、あくまであなたにとっての俺は他人だ。



素早く深呼吸して後ろにいるあなたを見やると、今度は顔を赤くしていた。理由が浮かばないので落ち着けた意味が無くなる。



しかし、なんとなく会ったばかりのある日のあなたの行動を思い出した俺はちょいとばかり仕返しをしてやることにした。
ディオ·ブランドー
ど、どうしたんだ…熱か…?
そう言ってあなたの額に自分の額をいきなりくっつけた。別に発熱している感じではなさそうだ。あなたは小さく悲鳴を上げて驚いた。



今のあなたは忘れているかもしれないが、これは会ったばかりの時に、あなたの微笑みを見て赤くなっていた俺に対してあなたがした行動だ。



あの時は本当に恥ずかしかったので、漸く仕返しできた。なんだかんだちゃんと覚えてるんだからな、お前からされたことは全部。



そもそもの本人が覚えていない記憶を思い出していたが、やはりあなたの顔は赤かった。そろそろ理由が気になる。



いや、ちょっと心当たりはある。さっきは寝惚けていたが意識が覚醒していくにつれ、俺の顔が目の前にあったことを自覚したのでは?と思う。
ディオ·ブランドー
何かあったのかい?顔が赤いよ
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
…ディ、ディオの顔が近くて…。
ディオ·ブランドー
それで恥ずかしかっ………
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
キスされるかと思った………
ディオ·ブランドー
は………?
その数秒後、あなたの病室に「はぁぁぁぁ!?」と言う俺の悲鳴が響き渡った。コイツなんてことを言うんだ!?



あなたが真っ赤な顔でとんでもないことを抜かしたものだから俺は柄にもなく驚愕するしか出来なかった。



何の関わりも無い男が顔を目の前に近付けてきたらそんなことを言うのか!?お前は今までに他の男にもそんなことを言ったことがあるのか!?



いくらなんでも無防備過ぎやしないか!?と思わずにはいられなかった。相手が俺だったから良かったものの…!



俺はあなたの前で大きくため息をついた。あまりの無防備さに呆れるしかなかった。ここまで俺を戸惑わせたのはお前が最初で最後だな。
ディオ·ブランドー
全く………馬鹿が…!
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
ディオも馬鹿だもん…目の前に来たから…。
ディオ·ブランドー
ああもう分かったよ!僕も馬鹿だったよ!あなたも馬鹿だし僕も馬鹿だ!
(なまえ)·クレア
あなた·クレア
あっ、認めたぁ
ディオ·ブランドー
「認めたぁ」じゃあないだろマヌケがッ!
互いに顔を真っ赤にしながら言い争っている時間は、ただ幸せだった。



取り敢えず、あなたの記憶が戻ったら本当にキスしてやろうと決意した。覚悟してろよ。

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