本当に気分が良かった。ジョジョに一発食らわしてやれたし、あなたからの言葉も嬉しかった。
だが、そんな優越感や満足感を感じられていたのも束の間、あなたは「でもジョジョが心配だな…。」とか抜かした。
ジョジョは苦しそうにしていた。まあ指を目に突っ込まれたんだからそりゃ痛いだろう。目元からは血が流れている。
明らかに苦しそうなジョジョを見たあなたはとうとう我慢しきれずにジョジョの方に駆けて行ってしまった。ああ、離れてしまった。
あなたに声をかけられたジョジョはその後彼女に連れられてどこかへ行ってしまった。まあ応急手当でもするのだろう。
それにしても本当に不快だ。あなたがジョジョに触れているのを見ると不愉快になる。面白くない。
"1回で良いから俺にも触れて欲し……"
何を言っている!!そんなわけあるか!!最近の俺は可笑しいぞ、ただの馬鹿女に普通そんなことを考えるわけないだろ!俺はいつからアホになったんだ。
何度も馬鹿に興味はないと念じているのにあなたにだけはどうしても目が行ってしまう。そろそろ正体を突き止めたい。この気持ちは一体何なのか。
しかし誰に相談しようか。そこら辺の奴は……なんとなく嫌だ、大して関わったことのない奴等には話したくない、これはデリケートな問題なんだ、出来るだけ口の固そうな奴でなければならん。
そのとき浮かんだのはジョースター卿だった。確かに彼なら適役な気がするぞ、彼は人の大事な話を言いふらしたりするような人ではないような気がする。
帰ったら相談するか。
ーーー
家に帰った。偶々視界に入ったジョジョを見てみれば、眼帯をしていた。実に惨めな姿だ、思わずニヤリと笑ってしまう。
取り敢えずジョースター卿の元に行かなくては。仕事中だったらあれだがまあ良い、相談はすぐに終わるんだからな。
召し使いに聞いたら今ジョースター卿は仕事中ではないと言うから、急いで部屋まで行った。ノックをして入れば、椅子に座って本を読んでいた。
そう言うと、ジョースター卿は真面目な顔から急に口角を上げて幸せそうな笑みを浮かべながら笑った。
何を笑っているんだ、俺は真剣に話していると言うのに!相談する人を間違えたか…?他に相談できそうな奴はいないというのに。
そう思っているとジョースター卿はこう言った。
嘘だろ…?このディオが、恋?そんなものするわけないだろ俺が。恋なんぞ馬鹿のするものであって…俺が…するわけ…。
そう困惑していたが一度そう言われてしまうとそれは俺の心にスッと潜り込んでしまい、どうしても拭えなかった。
まずい、完全に自身の中で「これは恋だ」と思ってしまっている。頬がカーッと熱くなるのが分かった。
次からあなたに会う時どんな顔をすれば良いんだ…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!