早速ジョースター卿からの紹介を受けて部屋まで案内してもらうその時であった。
後ろを見れば、ジョジョが俺の鞄に手を伸ばしているではないか。俺は素早く階段を下りてその手を掴み上げた。
そう言ってジョジョの胸部を肘で突く。全く、そんな汚い手で触らないで欲しいものだ。アイツの手はダニーとやらの涎でベトベトだ、絶対触られたくない。
結局鞄は召し使いに運ばせて部屋に戻ろうとしたその時更に想定外のことが起こる。
玄関の方から聞き覚えのない女の子の声が聞こえてきた。誰だと思って振り向けば、これまたジョジョと似た青髪の少女が立っていた。
ジョジョが何度も「大丈夫」と言っているのにそれに返すように「でも」の一点張りのあなたとか言うこの女。どう見ても馬鹿だ。
これだから馬鹿な奴は嫌いなんだ、見ていてムカムカしてくる。見た目はまあ…可愛らしいとは思うが、ああ言う馬鹿は嫌いだ。
まあ、最初から馴れ合うつもりも無いけどな。そう思いながら2人を無視して俺は1人部屋に行った。
そんな一言を呟いた。
しかし部屋に戻ってから、俺は変な気分になっていた。どうしても忘れられないのだ、あのあなたとか言う確実に馬鹿であろう女が。
何故なんだ…あんな馬鹿女、俺にとってどうでも良い筈なのに。何故こんなにも俺の脳内にこびりついてくるんだあの女は。
イライラしてきた。忘れようとしてもどうしても忘れられない。母親のことを思い出したりしてなんとか記憶を消してやろうと思ったがすぐあの女の波がやって来る。
ベッドに飛び乗ってジタバタしながら叫んだ。こんな行儀の悪いことをするなど全く俺らしくもないのだが、そうせずにはいられなかった。
結局その日1日はその女のことが忘れられなかった。別に仲良くなるつもりは全くないが逆に何者なのか気になるので明日にでもジョジョに聞いとくか。
そう決めてその日はもう寝ることにした。あんな馬鹿女、すぐにでも忘れてやるさ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。