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第23話

クリスマスデート


 クリスマスの日、朝から宮原くんとデートの約束をしていた私は、一時間も早く待ち合わせ場所に着いていた。


 宮原くんとのデートは楽しみだけど、早く着いてしまったのは別に理由がある。


 準備も終わって部屋でのんびりしようとしていたら、私服の道人くんが出掛けていくのが窓から見えた。

 梅川先生とデートなのかと思ったら居ても立って居られず、慌てて家を飛び出し跡を付けてしまったけど……。

東ほのみ
東ほのみ
(電車下りてすぐに見失っちゃうなんてなぁ)


 待ち合わせの駅だったこともあり、私は仕方なく改札前の柱に寄りかかって宮原くんを待つことにした。

東ほのみ
東ほのみ
はっ……くしょん!
東ほのみ
東ほのみ
(体冷えてきちゃった……。どこか入ろうかな?)


 カフェがないか辺りを見回していると……。

綾崎道人
綾崎道人
ほーのーみ
東ほのみ
東ほのみ
み、道人くん!?


 道人くんは、かわいくラッピングされたプレゼントっぽいものが入った紙袋と、すぐそこにあるカフェの紙コップを持って歩み寄ってきていた。

東ほのみ
東ほのみ
あ、こ、これは宮原くんと待ち合わせをしててっ!! 絶対道人くんの跡をつけてなんて――!
綾崎道人
綾崎道人
待ち合わせ? なるほどね、一段とおしゃれしてるのはそういうことか。似合ってるよ
東ほのみ
東ほのみ
こ、こんな道端でそういう事をっ!!!


 振り上げた手は軽々と受け止められ、道人くんは手に温かい紙コップを持たせてくれた。

綾崎道人
綾崎道人
はははっ、ごめんね。まだ時間あるならどこかに入るんだよ? とりあえずこれ。まだ口付けてないから、良かったら飲んで
東ほのみ
東ほのみ
え、あ、……今! どこか入ろうと……思ってたもん
綾崎道人
綾崎道人
そっか、風邪ひかないようにね。またね、ほのみ
東ほのみ
東ほのみ
あ! ……道人、くん、ありがとう


 道人くんは優しく微笑むと軽く手を振り、改札を通り抜けていった。

東ほのみ
東ほのみ
(また電車に乗るってことは、……梅川先生のプレゼントを買いに来たのかな?)
東ほのみ
東ほのみ
(今年は……、この温かい飲み物がクリスマスプレゼント、かな)


 道人くんからもらった紙コップには、温かい紅茶が入っていた。

 一口飲んだだけで体はじんわりと温まっていき、頬が綻んでしまう。

宮原唯月
宮原唯月
ほのみ!?


 こちらに駆け寄ってくる足音と共に、私を呼ぶ声が聞こえる。

東ほのみ
東ほのみ
あ、宮原くん
宮原唯月
宮原唯月
いつから居たの!?
東ほのみ
東ほのみ
え、別にそんな待ってないよ?
宮原唯月
宮原唯月
いや、……まだ30分前だけど
東ほのみ
東ほのみ
あ!? あぁー、ちょっと用事があって先に来てただけだから!!
宮原唯月
宮原唯月
ふふっ、楽しみにしてくれてたんだ?
東ほのみ
東ほのみ
(道人くんを追っかけてとか絶対言えない!!)
東ほのみ
東ほのみ
う、うん!! 昨日もあんまり眠れなかったし!!
宮原唯月
宮原唯月
……ふーん? 珍しいね、恥ずかしがらないなんて?
東ほのみ
東ほのみ
あ、あたしだって少しは成長するから!
宮原唯月
宮原唯月
ふっ、まぁいっか? ほら、中入ってゆっくりそれ飲んでから行こう


 宮原くんはいつもより嬉しそうに、顔を緩めていた。

 こんなに私を好きでいてくれる彼に、罪悪感ばかりが降り積もっていく。

 けど、またそんなことを考えていたらすぐに宮原くんに見透かされちゃうから、一緒にいる時はたくさん楽しもうと決めている。



 それから、私たちは映画を見に行ったり、ウィンドーショッピングをしたり、カフェでお昼ごはんを食べたり、日ごろはできないデートを楽しんだ。



 夜は宮原くんのお家でケーキを食べる予定だった。

 日も暮れてきてそろそろ電車に乗って移動しようとしていた時、自然とつながれていた手がぎゅっと握られる。

宮原唯月
宮原唯月
今日はありがとう
東ほのみ
東ほのみ
そんな、あたしの方こそありがとう! すごく楽しかった
宮原唯月
宮原唯月
はぁ、夜もイルミネーションとか見に行きたかったのにさぁ、母さんがほのみを見たいってうるさくて
東ほのみ
東ほのみ
イルミネーションは部活帰りでも見れるじゃん! それよりあたしは、少し緊張しちゃうんだけど……
宮原唯月
宮原唯月
あ、そんな畏まらなくていいからね? 友達くらいの気軽さで話してやって
東ほのみ
東ほのみ
え、そんな軽いのはダメでしょ!?
宮原唯月
宮原唯月
いいからいいから、緊張しないで


 そう言って宮原くんは、繋いでいた手を一度離して指を絡めてきた。

東ほのみ
東ほのみ
(え!? えぇ!? ……こ、恋人繋ぎって)


 宮原くんの言葉に反してさらに緊張し始めた私は、ふと、まだ入学したばかりの頃に部屋で道人くんと恋人繋ぎをしたことを思い出した。

 ぶわっとあの頃の気持ちがよみがえり、私は咄嗟に宮原くんの手を振り払ってしまう。




      バチンッ



東ほのみ
東ほのみ
あ! ご、ごめん!!
宮原唯月
宮原唯月
……調子乗りすぎたか。俺こそごめんね
東ほのみ
東ほのみ
そ、そんな……宮原くんが謝ることじゃ


 重く気まずい空気がただよう。

 何を言っても墓穴を掘ってしまいそうな上に、頭も回らなかった。


 そんな場に似合わない気の抜けた音が響き渡る。




     ピロリロリン♪


         ピロリロリン♪




 道人くんからのメールが届いた。

宮原唯月
宮原唯月
見ていいよ?
東ほのみ
東ほのみ
あ、うん。ごめんね
東ほのみ
東ほのみ
(道人くんからメール? 最近は何にもやり取りしてないのに……)


 不思議に思いながらメールを開いてみると、一枚の写真が添付されていた。

東ほのみ
東ほのみ
なに、これ……


 それは、居酒屋の前で顔をほんのり赤くして泥酔しているらしい道人くんと、そんな道人くんにぴったりくっついた梅川先生のツーショットだった。