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第24話

好きな気持ちに天邪鬼にはなれない


 道人くんから、居酒屋の前で撮った梅川先生とのツーショットが届いた。

東ほのみ
東ほのみ
(なんで道人くんがこんな写真をあたしに……?)
宮原唯月
宮原唯月
ほのみ? 顔色悪すぎ、どうしたの?
東ほのみ
東ほのみ
み、宮原くん……


 宮原くんは私のスマホをのぞき込んでくると、画面をいじって写真は閉じられてしまう。

宮原唯月
宮原唯月
これ、梅川先生からでしょ?
メッセージ見てみなよ


 画面をもう一度見てみると、そこには「早く来ないと、お持ち帰りしちゃうわよ♪」という梅川先生らしいメッセージがあった。

宮原唯月
宮原唯月
それにこれ撮ったのも梅川先生でしょ
東ほのみ
東ほのみ
たしかに、道人くんこんなに酔ってて自撮りなんてできなさそう!
東ほのみ
東ほのみ
(良かった。
道人くんじゃないんだ……けど)
宮原唯月
宮原唯月
じゃあ、綾崎先生迎えに行こうか
東ほのみ
東ほのみ
え!? けど……


 道人くんは梅川先生と付き合ってて、私は宮原くんと付き合ってる。

 お持ち帰りされるなんて、なにもおかしいことじゃない。恋人同士なら普通。

 おかしいのは、……私がまだ道人くんを好きなことなんだから。

東ほのみ
東ほのみ
行かないよ。迎えに行く理由なんて、ないじゃん
宮原唯月
宮原唯月
それ、本当に言ってる?
東ほのみ
東ほのみ
私は……宮原くんが好きなんだから、
迎えになんて行かないよ


 これ以上宮原くんを傷つけたくない。

 けど、私は宮原くんの目を真っすぐ見ることができなかった。

宮原唯月
宮原唯月
……そ。じゃあ、俺の家に行こうか


 宮原くんも私の目を見ることなく手を繋ぎ、少し速足で歩き始める。


 手は少し汗ばみ、私は焦りを隠せなくなっていた。

 今、この手を振り払って道人くんのとこに行ったら何か変わる?

 けど、そんなことをしたら宮原くんにどんな思いをさせるだろう。


 考えは何もまとまらなくて、ただ、宮原くんについていくことしかできなかった。

東ほのみ
東ほのみ
(今の私って、
天邪鬼でいる時よりひどいよね……)
宮原唯月
宮原唯月
着いたよ
東ほのみ
東ほのみ
え? まだ、電車……に


 顔をあげると、そこは写真でみた飲み屋街だった。

東ほのみ
東ほのみ
なんで!? ここって
宮原唯月
宮原唯月
そこの角を曲がったところに、あのお店があるはずだから
東ほのみ
東ほのみ
行かないって、私はっ――!
宮原唯月
宮原唯月
歩いてた時、
後悔してたんじゃないの?
東ほのみ
東ほのみ
っ――!
宮原唯月
宮原唯月
さっき好きって言った時、すごく辛そうな顔してたよ
東ほのみ
東ほのみ
それは……
宮原唯月
宮原唯月
俺は綾崎先生みたいに悲しませたりしないって思ってたけど、傷ついてるほのみを本当に笑わせてあげられるのもあの人なんだってわかったんだ
東ほのみ
東ほのみ
そんなことっ! 宮原くんと一緒にいて楽しかったのは本当だよ!
宮原唯月
宮原唯月
そうやって素直に言えるようになったのだって、ほのみが綾崎先生を好きで頑張ってきたからだ。けど、まだ天邪鬼な部分があるんじゃない?
東ほのみ
東ほのみ
けど、宮原くんを……


 そういった瞬間、繋いでいた手が引っ張られて痛いくらい強く抱きしめられた。

宮原唯月
宮原唯月
これ以上、ほのみの背中を押すのは辛いから早く行ってよ


 耳元でささやかれた声は小さく震えていた。

東ほのみ
東ほのみ
(そうだ、ここまで宮原くんが頑張ってくれてるんだから、私も勇気を出さなきゃ)


 腕が緩められ、私は宮原くんから離れた。

東ほのみ
東ほのみ
道人くんを好きで頑張ってこれただけじゃないからね。ここまで頑張ってこれたのは宮原くんのおかげだよ。
……今まで本当にありがとう
宮原唯月
宮原唯月
じゃ、俺に感謝してちゃんと笑ってくること


 宮原くんに背を向け、私は写真のお店に向かった。










宮原唯月
宮原唯月
あーあ、俺も天邪鬼になったのかなー

























 角を曲がると、店先の椅子に座っている道人くんと梅川先生がいた。

 梅川先生は私に気付き、ぐっすりと眠っている道人くんが倒れてしまうのも構わずに立ち上がる。

梅川沙良
梅川沙良
おっそぉーーーい!! もうっ!
何してたのぉ!?
東ほのみ
東ほのみ
へ!? す、すみません!
梅川沙良
梅川沙良
好きな男ならさっさと迎えに来なさい!!
東ほのみ
東ほのみ
は、はい! え? えっ……と、お持ち帰りするつもりじゃないんですか?
梅川沙良
梅川沙良
私のこと好きじゃない男持ち帰ったって意味ないでしょ! ほのみちゃんをおびき出すために送ったのよ!
東ほのみ
東ほのみ
けど、道人くんは梅川先生と……
梅川沙良
梅川沙良
あぁ~、その話は本人から聞いて?
私が話すことじゃないわ。
じゃ、あとは任せたからね♪


 そう言うと梅川先生は店の前を通ったタクシーを止めた。しかし、乗ろうとせず私を見てくる。

梅川沙良
梅川沙良
なにしてるのよ?
さっさと乗りなさい
東ほのみ
東ほのみ
え!? あ、ありがとうございます
梅川沙良
梅川沙良
お金は道人のを使いなさいね?
私に迷惑かけた罰よ!


 扉はバタンッと梅川先生に閉められ、タクシーは走り出した。

東ほのみ
東ほのみ
(道人くん、梅川先生と何かあったのかな)
綾崎道人
綾崎道人
んぅー
東ほのみ
東ほのみ
あ、……道人くん起きた?
綾崎道人
綾崎道人
ほのみ? あれ、……デートは?
東ほのみ
東ほのみ
……宮原くんとは終わりにしてきたの。酔った道人くんを迎えに来るために
綾崎道人
綾崎道人
なっ……はぁ、そっか。ごめんね


 道人くんは頭を押さえながら唸ると、私の肩に倒れかかってきた。

東ほのみ
東ほのみ
み、道人くん!?
綾崎道人
綾崎道人
帰り際、学校の先生たちに捕まって飲んでたんだ
東ほのみ
東ほのみ
そ、そうなんだ! なんか、梅川先生怒ってるみたいだったけど……
綾崎道人
綾崎道人
あぁ……、迷惑かけたな
東ほのみ
東ほのみ
大丈夫?
綾崎道人
綾崎道人
……うん、帰ったら話があるんだけど、もう少しこのままでいてもいいかな?
東ほのみ
東ほのみ
えぇっ、う……うん


 タクシーに乗っている間、道人くんは私の肩に頭を乗せて少し眠っていた。


 家につくとデートに行った両親がまだ帰ってきていなかったため、私の家で話をすることになった。

 二人でリビングのソファに座ったけど、私と道人くんの間には微妙な距離がある。

綾崎道人
綾崎道人
……うーん、まずは、辛い思いを何度もさせてごめんね
東ほのみ
東ほのみ
え、辛い思いって……
綾崎道人
綾崎道人
ほのみは、俺のこと好きでいてくれたでしょ? 今は、わからないけど
東ほのみ
東ほのみ
……へ!? な、なななにいって
綾崎道人
綾崎道人
俺も、ほのみが好きだよ
東ほのみ
東ほのみ
なっ……にを。……けど!
梅川先生と付き合うってっ!
綾崎道人
綾崎道人
嘘なんだ。全部、……ほのみと両想いにならないための
東ほのみ
東ほのみ
どういう……こと?


 道人くんは背もたれに頭を預け、額に手を当てて考えているようだ。

綾崎道人
綾崎道人
もし、俺がほのみと恋人になれたら手放せる自信なんてないんだよ
東ほのみ
東ほのみ
そんなこと考えなくたって!?
綾崎道人
綾崎道人
ほのみはまだ若いから、これからいろんな出会いがあるよ。誰にも振り向かせないなんて自信だけじゃどうにもならないことがたくさんあるんだ
東ほのみ
東ほのみ
……そんなの、わからないじゃん
綾崎道人
綾崎道人
うん、わからない。けど、俺はそれが恐くてずっと避けてたんだ
東ほのみ
東ほのみ
今、私は道人くんが好きだよ。わかってなかったけど、ずっと前から好きだったの
綾崎道人
綾崎道人
ありがとう。俺も、周りのことをたくさん考えて一生懸命なほのみが好きだよ


 私の頬に優しく触れる道人くんの手から、見つめてくる瞳から、私を包み込んでくれるような愛情が伝わってくる。

綾崎道人
綾崎道人
沙良に怒られたよ。いつまでもうじうじするなってね
東ほのみ
東ほのみ
私も、宮原くんに背中を押してもらった
綾崎道人
綾崎道人
たくさん遠回りをさせちゃったけど、こんな俺の恋人になってくれる? ほのみ
東ほのみ
東ほのみ
私、宮原くんと付き合ってみてわかったの。諦められないくらい……み、道人くんが……好きだって
綾崎道人
綾崎道人
ははっ、今更恥ずかしがるところも可愛い


 道人くんは嬉しそうに私をぎゅーっと抱きしめると、そのまま唇をよせて――。




ほのみ母
ただいまー! ほのみ帰ってるー? あら? この靴道人くんじゃない?
ほのみ父
あぁ、そうだな。ただいまー?
東ほのみ
東ほのみ
ああああーーーー!!!!
お、おおおかえり!!!




      ドンッ




 私は道人くんを押し退けて立ち上がった。

 急に聞こえてきたお母さん達の声で我にかえり、道人くんとキスをしようとしていたことに恥ずかしさを隠せない。


 道人くんはソファに倒れ込みながらクスクスとおかしそうに笑っていた。





 両想いになっても、まだまだ私に問題はありそうだけど……。

東ほのみ
東ほのみ
(道人くんを好きって気持ちには天邪鬼になれないかな)