無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第10話

溺愛先生の勘違い


 道人くんの車に乗って数分、すっかり学校から遠のいてしまった。

 いつもなら何も言わない道人くんが、今日に限っては助手席だと言ってきたため、私は大人しく隣に座った。

東ほのみ
東ほのみ
(道人くんが運転してるの後ろから見てもかっこいいのに……)


 隣で運転している彼を盗み見ると、まじめな横顔、ハンドルを握る姿がかっこよくて直視していられない。




   ドキッ ドキッ ドキッ



東ほのみ
東ほのみ
(隣に座るだけで緊張がやばいよっ!)
綾崎道人
綾崎道人
ん? ほのみ、どうかした?
東ほのみ
東ほのみ
な、なんでもない! 前見てなよ! 事故ったらどうするの!?
綾崎道人
綾崎道人
ははっ、大丈夫。ほのみを乗せて事故なんて絶対起こさないから
東ほのみ
東ほのみ
誰乗せてたって
そんなの当たり前でしょ!!
綾崎道人
綾崎道人
そうだね。けど、ほのみの時はいつもより思うかな
東ほのみ
東ほのみ
へっ!? あ、あっそ!
東ほのみ
東ほのみ
(もうっ!
なんで道人くん溺愛モードなの!?
尚更恥ずかしいじゃん!)


 赤く染まりそうな顔を落ち着かせようと外を見ると、そこには見覚えのある景色があった。

東ほのみ
東ほのみ
(あ、ここって)
綾崎道人
綾崎道人
ほのみ、ほら、見えてきたよ


 道人くんが前を見て柔らかく微笑むと、下り坂の先には太陽の日差しでキラキラと輝く海が広がっていた。

東ほのみ
東ほのみ
……海、久しぶりかも
綾崎道人
綾崎道人
でしょ?
最近頑張ってるほのみへのご褒美


 彼の無邪気な笑顔は、窓の外に見える海にも負けないくらい輝いて見えた。




     ドキッ



東ほのみ
東ほのみ
が、頑張ってなんかないよ
東ほのみ
東ほのみ
(全然、なにもうまくいってないんだから……)
綾崎道人
綾崎道人
そう?
学校生活だってまだ慣れない中、委員会も部活も頑張ってると思うよ
東ほのみ
東ほのみ
そんなの、皆同じでしょ
綾崎道人
綾崎道人
確かにね。けど、皆同じだから頑張ってないわけじゃないだろ?
綾崎道人
綾崎道人
天邪鬼だって、ならないように気を付けてるってわかってるよ
東ほのみ
東ほのみ
……それは
綾崎道人
綾崎道人
ほのみは頑張ってるよ。
あんまり、自分を追い込まないで
東ほのみ
東ほのみ
……うん


 赤信号で車が止まると、脆いものを触れるように優しく頭を撫でられた。

東ほのみ
東ほのみ
(ありがとうって、言いたい。
言わなきゃ)
東ほのみ
東ほのみ
(それに、今なら色々聞けるかも。なんで急に、学校であんな関係になっちゃったのか)
東ほのみ
東ほのみ
……あ、あり――
綾崎道人
綾崎道人
それから、ごめんね


 精一杯、勇気を振り絞りお礼を言おうとしたが、それは申し訳なさそうにしている彼に遮られてしまった。

東ほのみ
東ほのみ
え?
綾崎道人
綾崎道人
色々言っちゃったけど、俺はほのみのためなら何でもするから
東ほのみ
東ほのみ
……それって、どういう
綾崎道人
綾崎道人
うーん、恋……とか
東ほのみ
東ほのみ
えぇ!? なっ! 何言って!!
綾崎道人
綾崎道人
ほのみが幼稚園の頃から一緒にいるんだから、気持ちくらいすぐわかるよ
東ほのみ
東ほのみ
し、しし知ってたの!?
うそっ!!?
東ほのみ
東ほのみ
(気持ちって……、
好きなのバレてる!?)
綾崎道人
綾崎道人
恥ずかしがり屋だし、言えなかったんだよね?
東ほのみ
東ほのみ
え! や、いやっ、違うの!
あたし別にこれ以上の、関係なんて
綾崎道人
綾崎道人
そうなの?
せっかくいい感じになってるのに
東ほのみ
東ほのみ
いい感じッ!?!?
なっ! ば、ばかっ!!
綾崎道人
綾崎道人
……俺も好きだよ
東ほのみ
東ほのみ
え? えぇ?
今、すっ、好きって、……言った?



  ド            ド
   キ   ド        キ
        キ    ド
     ド        キ
      キ   ド      ド
  ド        キ      キ
   キ



 道人くんは私を見ると、キラキラと輝く海を背景に穏やかな優しい笑みを浮かべた。










綾崎道人
綾崎道人
ああ、宮原くんのこと。
俺も好きだよ?
東ほのみ
東ほのみ
……へっ? 宮原くん??


 とんでもない勘違いをしているとわかり、私は間抜けな声が漏れた。

 先手を打つかのように道人くんは言葉をつづけた。

綾崎道人
綾崎道人
俺も協力するから、もう隠さなくて大丈夫だよ




      ズキンッ




 心臓にナイフを突き立てられ、とどめを刺されたように胸が鋭く痛む。

東ほのみ
東ほのみ
(……協力って、……そんなのしなくていいよ)
東ほのみ
東ほのみ
(なんでこんなにうまくいかないの?
きっと、どれだけ否定したってわかってもらえない)


 道人くんの顔を見てみると、少し微笑んで首を傾げていた。

東ほのみ
東ほのみ
(……私が、いつまでたっても天邪鬼だったせいだ)


 そんな彼に、私はまた天邪鬼になって笑顔を返してしまう。

東ほのみ
東ほのみ
(私が、告白したらわかってくれる?)


 道人くんは腕時計をチラッと見てから何か言っていた。

 けど、その言葉は全く頭に入らない。

東ほのみ
東ほのみ
(けど、妹の私が告白なんてしたら……、もうそばにいられないよね)
東ほのみ
東ほのみ
(告白なんて、できないじゃん)