無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第11話

イケメン同級生の苦労


 夏休みの図書室開放日、宮原くんは当番にもかかわらず窓際の席で本を読んでいた。

東ほのみ
東ほのみ
……はぁ


 仕事してと注意する元気さえ出ず、私はカウンターで一人、図書カードの整理と記録をしていた。

宮原唯月
宮原唯月
まぁた、
綾崎先生のことで悩んでんの?
東ほのみ
東ほのみ
別に……、まぁ、ちょっと
宮原唯月
宮原唯月
ふふっ、
天邪鬼なのにしおらしいじゃん
東ほのみ
東ほのみ
もう、天邪鬼って言わないで!!
宮原唯月
宮原唯月
そんな苛立っちゃって、
やっぱり何かあった?
東ほのみ
東ほのみ
……あたし、綾崎先生とは幼馴染なんだけど、妹って言われたの
宮原唯月
宮原唯月
へぇー


 宮原くんは本のページをめくりながら、ちゃんと聞いているのかわからない相槌をうつ。

 けど、今はなんでもいいから誰かに聞いてほしい気分で、私はそのまま話し続けた。

東ほのみ
東ほのみ
それで、やっと……気づいて
宮原唯月
宮原唯月
何に?
東ほのみ
東ほのみ
え! ……えっと、……すき、って
宮原唯月
宮原唯月
は? 今更?
東ほのみ
東ほのみ
う、うん。……今までは、そばにいるのが普通だと思ってたから
宮原唯月
宮原唯月
ふーん。ま、自覚したのはいいことなんじゃない?
東ほのみ
東ほのみ
……けど


 海へドライブに行った日のことを思い出し、全身から力が抜けるように気持ちも落ち込んでいく。

 カード整理をしていた手元に本が置かれて顔を上げると、さっきまで向けられもしなかった宮原くんの視線が私をとらえていた。

宮原唯月
宮原唯月
東さんはどうしたいの?
東ほのみ
東ほのみ
え、どうしたいって
宮原唯月
宮原唯月
綾崎先生の恋人になりたくないの?
東ほのみ
東ほのみ
こ、ここ恋人っ!!!? そ、そんな、あたしが、なれるわけっ!
宮原唯月
宮原唯月
なれるかなれないかじゃなくて、なりたいかなりたくないか。いいの? 綾崎先生の隣が違う人のものになって?


 宮原くんはカウンターに手をついてずいっと顔を突き出し、真っすぐと見つめてくる。

 今までにないくらい勢いのある宮原くんに驚き、私は後ずさって目を逸らした。

東ほのみ
東ほのみ
それは嫌だけど……、高望みしなければずっとそばにいられるから……
宮原唯月
宮原唯月
目逸らすな! ずっとっていつまで?


 頬に手が添えられ、無理矢理前を向かされて宮原くんと目が合う。

東ほのみ
東ほのみ
いつまでって……
宮原唯月
宮原唯月
ずっとそばにいられるなんて本当に思ってんの? 彼女できたら終わりだよ
東ほのみ
東ほのみ
……それなら、それまで
宮原唯月
宮原唯月
弱気になってるのか何なのか知らないけどさぁ? じゃあ、何のために素直で可愛い女の子になりたかったわけ?
東ほのみ
東ほのみ
道人くんに……嫌われたくないから、……周りの子たちみたいに素直になれれば、もっと道人くんと一緒にいられるって、……思ったから


 瞳から涙があふれて静かに頬を伝う。

 道人くんを好きだとわかって、前よりもさらに変わりたいと思った。



 宮原くんの前で泣くのはこれで二度目。彼ももう慣れた手つきで涙を拭ってくれた。

宮原唯月
宮原唯月
はぁ……、さっきからずっと答えは出てるんだけど、わかってる?
東ほのみ
東ほのみ
わ、わかったから! もう、離れてよ!
宮原唯月
宮原唯月
じゃあ決意表明して。手伝う側としても中途半端にしたくないんだよね
東ほのみ
東ほのみ
け、決意表明って!? なんで言わせようとするの!!


 私は彼を押し退けようとするがびくともせず、カウンター越しに抱き寄せられて耳に吐息がかかる。

宮原唯月
宮原唯月
別に言わないならそれでもいいよ? その代わり、東さんを俺の彼女にするけどね




     ドキッ!!!!!





 恥ずかしさに耐えられず、私は宮原くんのみぞおちをこぶしで殴った。

宮原唯月
宮原唯月
いったぁ!!
東ほのみ
東ほのみ
み、道人くんに告白する!!!!
彼女になりたい!!
これでいいでしょ!?


 宮原くんはゆらゆらと歩いて椅子に座り込み、腕に頭をのせて寝るような体勢になってしまう。

東ほのみ
東ほのみ
み、宮原くん?
ごめんね、そんなに痛かった?
宮原唯月
宮原唯月
結構
東ほのみ
東ほのみ
本当にごめん!
けど、変な冗談いうから!!
宮原唯月
宮原唯月
はぁ……。じゃあ、素直女子への一歩目。綾崎先生を夏祭りに誘って
東ほのみ
東ほのみ
え!?
急にハードル上げ過ぎじゃない!?
宮原唯月
宮原唯月
協力してあげるんだから、これくらい頑張って。俺寝るから、後の仕事もよろしく
東ほのみ
東ほのみ
こんなにこき使ってるんだから、いざって時はちゃんと助けてよね!
宮原唯月
宮原唯月
はいはい、おやすみ



 そう言うと宮原くんは規則正しい静かな寝息をたてて眠りについた。

東ほのみ
東ほのみ
(……こんなだけど、なんだかんだ、いつも元気づけてくれてるよね)
東ほのみ
東ほのみ
……ありがとう
東ほのみ
東ほのみ
(よし! もうちょっと頑張ろう!)


 私は気を取り直して図書委員の仕事に戻った。












宮原唯月
宮原唯月
……本当、鈍感だよね。そういうところも、好きだけどさ