《テオくんside》
そう呟いたように言う" じんくん "は
なかなか俺と目を合わせようとしない。
身構えるような姿勢。
途端に、というより
突発的に、と言った方がいいだろうか。
" じんくん "という1人の人間に
興味を持ってしまったみたいだ。
この人のことをもっと知りたい
この人と仲良くなってみたい。
昔からの俺の性格なのかもしれないが
今までの感情とは何かが違った。
この俺を、
いや、" 人間そのもの "を
怖がっているようなじんくん。
どうにかして
この子の心の中に入ってみたい。
好奇心と、もうひとつの違う" ナニカ "が
俺の感情の中で疼く。
すると不意に
甘い匂いが鼻腔をくすぐった。
そして明らかになる
" 俺がこの子に興味を持った理由 "。
この人、
____Ωだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!