《☆イニ☆side》
家に帰って早々
そう吐き捨てて座椅子に腰掛ける俺。
外はめちゃくちゃ寒かったけど
家の中はなぜかホカホカしてるから
気温差で鼻水が出てくる。
これだから冬は大変なんだよな、
季節は12月下旬。
冬、と言ってもいいかわからないほど
地球温暖化のせいで雪などふらない。
テオくんはちょびっとだけ潔癖で
帰ってきてすぐにお風呂に向かった。
仕事は早めに終わらせとこう、と
SDカードが入ったショルダーバッグを見る。
そんなはずは、と思ってもう一度探す。
それでも
俺が探しているカードは見つからなかった。
ディズニーに電話するべきかな、
いや、もしかしたら家の中にあるかもしれないし。
頭の中がSDカードのことだけになって
家中を探した。
____プルルルルル、
俺のiPhoneが音を鳴らす。
相手が俺の番号を知っているわけがないのに
落し物ですよっていう電話かな、と期待してしまって
画面を確認せずに電話に出た。
だけどその相手の第一声は望んでいた声じゃなく。
またカードを探す作業に戻る。
『____もしもし、こちら藤枝様のお電話でよろしかったでしょうか?』
駄目だ、全然ない。
『____当方、○△病院のものですけれども、』
はやく切ってくれないかな、
そう思って急かすような口調になる。
『____定期抑制剤の処方期限が近づいておりますが、』
ソファの裏を見てみても
テーブルのしたを確認しても、やっぱりない。
『____かしこまりました、では失礼します』
やっと切れた電話。
iPhoneを雑に机の上に戻した。
…やばい、本当にどこいっちゃったんだろう。
テオくんになんて言おう、
どうすればいんだろう、
未だに俺の頭の中は
焦りと心配と不安で埋め尽くされていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。