第22話

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2020/11/23 10:14
翔平side




ん?手?



えっ⁉︎壱馬さん?



寮の共用風呂から出てきて、自分の部屋に戻ろうとしたら、なんと壱馬さんが部屋の前で倒れているんですよ!




「壱馬さん!壱馬さん!聞こえますか!
 大丈夫ですか!壱馬さーーん!」





『…………………ん?
 しょ、しょうへい…?』



(んっ…この壱馬さんは危険だ…)



「どうしたんですか⁉︎
 あー、とりあえず部屋入りましょ!」


 
えっ!壱馬さん、熱すぎ!

「もしかして、熱あります?」




……コクン




マジか…








とりあえずベッドに寝かせたけど…
俺、看病とか何もできなくね?


調べて…冷えピタか!

あとは、水を多めに飲ませて…







よし!冷えピタ完了!

あってよかった〜



次は、水か!


「壱馬さん、起き上がれますか?」




『……んっ、うん…』



「じゃあ、起こすんで肩掴んでもらっていいです
 か?」


コクン



(うわっ、軽っ!
そういえば、あまりご飯食べてなかったかも…)



「壱馬さん、コップ持てますか?」




………フルフル


あっ、やっぱ無理ですよね


「じゃあ、コップ傾けるので飲んでください」


コクン




「じゃあ、どうぞ」







コク…コク……はぁっ……っんコクッ








『もういい』






『…………?しょへ…どしたん……?』




「あっ、あぁ、ごめんなさい。
 もう大丈夫ですか、って………!」



やばい、かなりやばい…

水飲ませたのはいいんだけど、全部飲み切らなくて、顎まで水垂れちゃってて


あの…その…なんか、エロいっていうか……


熱のせいで、ボーッとしてるし、口も半開きで、ほっぺも唇もなんとなく赤くて、目はウルウル


なんか、俺やばいかも…



『しょへ、だいじょぶ?』



「んっ、はい。大丈夫です!
 俺、コップ置いてきますね」










グイッ


えっ?








『しょへ、いっちゃうの?』


「いっ、いや、すぐ戻りますよ笑」


『いや!しょへ、いて』







えーー!

やばい、やばい!







ただいま、壱馬さんに服を掴まれて動けないまま壱馬さんの寝ているベッドの横で座っている、なんていう状況です。こちらレポーター浦川翔平でした。






じゃなくて、ってもう寝ちゃった。





もう、本当に辛いんだろうな。

長谷川慎に嫌われたって思ったら、次は全校生徒からいじめられて…

もちろん、俺も生徒会の皆さんも壱馬さんのファンクラブの方も味方だけど…

俺、見たことあるんだよな…
壱馬さんが、長谷川慎の名前呼びながら泣いてるの





なんか俺、ギューって胸が締め付けられて苦しくて





俺、やっぱり、壱馬さんのこと好きなんだなって





長谷川慎なんかに負けてられない





だって、壱馬さんのそばにいるのは俺がいいから





だから………

ピンポーン


   




えっ、こんな時間に、誰?


というより、ここ俺の部屋じゃないんだけど



まあ、出ないのは失礼か



「はーい」



ガチャッ












「えっ?」


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