-翌日。
(ありがとう、とも。)
そして、
(48回開けたこの扉も、ついにこれで最後にな
る。)
そんなことを思いながら、49回目の扉を開く…
すると、
笑顔のはなと共に、綺麗な夕日があたり一面を
照らしていた。
いつもなら2人の会話で賑わうこの屋上も、今
日は静かだった。
最初は幽霊だから、って思ってたけど、いつも
思い出すのは、はなの笑顔だったり、じっと見
つめるその瞳だったり…。
そう言ってはなは、オレの胸に頭を埋めてく
る。
いつも通り可愛く照れる。
この表情にオレは何度胸を刺されてきたか…。
そして、終わりの合図をするかのように、はな
がどんどん薄く消えていく。
オレは思わずギュッと抱きしめる。
そう言いながら、はなは涙を流す。
そしていよいよ、本当に最後の時がやってき
た。
そうして、小さい無数の粒になり、消えていっ
た。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。