第8話

本性.jin
1,086
2018/01/22 13:55
《あなたside》



『ね、じんたん』



さっきから何回読んでも
んー、と曖昧な返事ばかり。



じんたんが見つめているのは
撮影した動画が再生されているMacBook。



最近忙しいのは分かっているけど。



『…ちょっとはかまってよ、』



やっとこっちを向いたと思ったら



じ「ちょっとしーしてて」



人差し指を立て、唇に当てながらそう言った。



その行動が私を拗ねさせる。



『…もういい、』



そう言って携帯を取り出す。



じ「へ~、もういいんだ」



わざとらしい言い方。



その顔は口角が上がっていた。



完全にからかわれている。



悔しくなって



『じんたんなんてもう好きじゃないもん』



と、思ってもいないことを口走っていた。



ちょっとは驚いたかな、
とじんたんの顔色をうかがう。



けれど彼の顔は余裕が有り余っていて。



じ「…本当は?」



急に大人な顔になって聞いてきた。



その真っ直ぐすぎる瞳に負ける。



『…好きに決まってんじゃん馬鹿』

じ「で、何して欲しいの?」



こいつ、分かっていて聞いている。



完全にドSだ。



『…かまって欲しいのっ』



照れ隠しのように早口で言った。



よく出来ました、と頭を撫でられる。



馬鹿にされているのが一発で分かった。



じ「ご褒美ほしい?」

『そんなのいらないっ』



また私が意地を張ると
全て見透かしたような笑みで見つめてくる。



『…ほしい、かも』



根負けしてそういうと
嬉しそうな顔をして私の腕を引っ張る。



『ん、』



軽いキスを落とされた。



久しぶりで赤面する。



じ「こんなんで照れてたら今夜どうするの?」



悪戯な笑顔を浮かべたじんたんが言う。



数秒遅れてやっとその意味に気づいた。



『ばかっ』



こんなじんたん、普段の動画では見られない。



いつもは優しいのに。



意地悪で、ドSで、自分勝手で。



これがじんたんの



__本性、なのかもしれない。

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