《あなたside》
じ「あなた?具合悪いの?」
朝から布団にもぐったままの私に
そう聞いてくる彼氏、じんくん。
『お腹と頭、痛くて』
そう、いわゆる、女の子の日。
私はあまり症状は重い方ではないのだが
なぜか今回はすごく辛くて。
免疫もある方で風邪も稀にしか引かず
なかなか寝たきりになることはない。
だからなのだろうか。
じ「え、大丈夫?どうしよう、」
じんくんは焦りっぱなし。
今日もじんくんは、相方のテオくんと撮影がある。
『いいよ、行っておいでよ』
じ「何言ってんの馬鹿っ」
駄目に決まってんじゃん、と冷えピタを貼られた。
…冷えピタって、あんまり効果ないんだけど。
でも、私のために
心配してくれて、考えてくれて、動いてくれて。
そのじんくんの姿はとても愛しい。
じ「あ、お腹あっためよう?」
そう言って
タオルケットやら毛布やらを重ねて
お腹にかぶせられる。
『…ほんと不器用、』
そう呟いた言葉にじんくんは気づいていない。
夢中になって
じ「あったまるもの作るから!」
とキッチンにたっている。
そんな優しいじんくんとは裏腹に
症状は治まるどころかだんだん酷くなっていった。
『…いたい、』
ついに弱音を吐くと
またじんくんが駆け寄ってきて。
じ「お腹あっためても治んない?」
生理痛がこんなに痛いものだと知らなかった私は
慣れているわけでもなく、頷くことしかできない。
じ「…女の子、の日?」
やっと察してくれたらしい。
そのことを知ると、じんくんはもっと焦り出す。
そして、左手を私のお腹あたりに伸ばしてきた。
その手がお腹をさする。
じ「これ、大丈夫?痛くない?」
外から触って痛いわけないのに、と内心思う。
『うん、ありがとう』
手の動きはぎこちないが
毛布なんかよりも何倍も温かく感じて。
だんだんまぶたが重くなってくる。
こんなに不器用だけど、じんくんはとても温かい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!