第5話

狼.jin
1,184
2018/01/21 11:13
《あなたside》



『わ~可愛い~、』

じ「ねえもうやめてよ、」



じんくんが号泣するドッキリの動画を見て笑う私。



それに対して怒るじんくん。



『じんくんって泣いたらいつもより可愛くなるんだね、』

じ「うるさいっ」



本人は相当恥ずかしいらしく
ぷんぷん怒っている。



じ「たまにはかっこいいとか言ってみたら?」



と、可愛い顔で言ってきた。



無理に決まってる。



『じんくんは可愛いから無理だよ』



携帯をひったくるように取られた。



じ「もう動画見るの禁止っ」



男の子ってやっぱり
かっこよくなりたい生き物なんだなぁ、と
つくづく思う。



『はいはいじんくんはかっこいいよ、』



思ってもないことを言う。



じ「馬鹿にしてるでしょっ」



しかもお風呂に入ったあとで
髪の毛もノーセットだから余計だ。



完全に" 男の子 "。



じ「次可愛いって言ったら襲うよ」

『可愛い』



ちょ、と焦り出すじんくん。



『じんくんに襲えるわけないでしょ、』



そう言って、返してもらった、というより
奪い返した携帯をいじる。



また動画を見ようと開いたYouTube。



のはずが。



目の前にあるのは
見えるはずの画面ではなく、じんくん。



そして背中には床。



いわゆる床ドン状態だ。



『…ちょ、何やってんの』



起き上がろうと上半身をあげると
肩を床に押し付けられる。



じ「俺には襲えないって言ったよね、」



そう言ってこちらを見つめる目は
完全に狼が獲物をとらえたような目で。



『いや…ごめん、』

じ「後悔させてあげる」



さっきのじんくんとは打って変わって
私の唇に落とされるのは、激しすぎるキス。



早くも酸欠になりかける私を
じんくんは解放してくれなくて。



じんくんの香りに包まれて
頭の中もだんだん真っ白になっていく。



厭らしい音を立てて離れた唇。



じ「…もう俺のこと舐めちゃだめだよ?」



そう低い声で言われた。



はじめて見るじんくん。



いつものうさぎのような可愛さは微塵もなくて
まるで狼のような鋭さで。



たまにはこんなじんくんも良いのかな、
と、思ってしまった。

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