第21話

偽カノ.teo
912
2018/01/28 01:23
《あなたside》



『…うるさぁ、』



隣のクラスから、きゃああ、と聞こえる悲鳴。



じ「またテオくんじゃない?」



同じクラスのじんくんに話しかけられる。



彼がいう「テオくん」とは
隣のクラスの寺島っていう人。



『あの人かっこいい?』



どう見てもかっこよくない。



そりゃ身長は高くてすらっとしてるけど
チャラいし怖いし馬面だし。



じ「でもモテるよね、少なくとも俺よりは」

『じんくんもともとモテないじゃん』

じ「お前ww」



私は恋愛に興味がなかった。



だから今まで好きな人ができたことはないし
彼氏なんてもってのほかだった。



自分の意思を持たないからか
女友達もいないに等しかった。



じ「今日も一緒に食べてあげるよ」

『ありがと、』



いつものことだから
口だけの感謝を伝えてお弁当を開ける。



_「やっほー、じんたん」



上から降ってきた声に顔を向けた。



するとそこには、



じ「え、なんでテオくん」

テ「虫除け」



彼にとって"虫除け"は多分
周りに集まってくる女の子を散らすことだと思う。



テ「…あ、どもっ」



私と目が合った時、笑顔でそう言って頭を下げる。



私は人見知りなため、頭を下げただけ。



寺島…くん、がじんくんの隣に座る。



まるで私が空気かのように、喋り始めた。



じ「今日も撮ろうぜ!」

テ「本当に言ってる?w」



一緒にご飯を食べてわかったのは
意外と真面目な人ってこと。



多分いつもチャラそうなのは
いわゆる"虫除け"をするためだ。



じ「あなたがやれば?www」



けらけら笑いながら話しかけてきたじんくん。



『え、何が?』

じ「だから、あなたがテオくんの偽カノやればってことっ」



小声で言われて、数秒考えてやっと理解する。



『は?!』

じ「できるできるww」

『いや無理だって、無理無理無理っ』

テ「別に俺はいいけど男経験なさそうだもんねww」



馬鹿にされたように笑われて、いらっとする。



『は?…分かったよやるよっ』

じ「テオくんも人のこと言えないよww」



きゃはは、と女子みたいに笑う寺島くん。



『…いつまで?』

じ「虫除け完全にできるまでだろ!」



何故かとても嬉しそうなじんくん。



それを無視してご飯をまた食べ進めた。

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