第30話

不安.teo
919
2018/02/16 09:32
《あなたside》



『…おぉくん、』

テ「ん~?」



隣でヘッドフォンをして
パソコンをいじっている"おぉくん"こと
彼氏のテオくんを呼ぶ。



忙しそうで、話そうとしていたことを躊躇った。



『…んーん、頑張ってねって』



言いたかっただけ、と小声でつぶやく。



テ「ん、ありがとな」



おぉくん持ち前の笑顔でそう言われた。



普通ならおぉくんの隣にいられることさえ
幸せなはずなのに。



人間には慣れというものがあって
どんどん欲張りになってしまうらしい。



テ「久しぶりに会えたのに編集ばっかでごめんな、」



もうちょっとで終わるから、と言ってくれた。



おぉくんはどこまでも優しくて、どこまでも甘い。



でもだからこそ
捨てられる日が来るんじゃないかって不安になる。



感情というものは
落ちる時があるからこそ幸せを感じて
逆に言えば
幸せを感じるからこそ辛いことも感じてしまう。



感受性、とは不思議なものだ。



だからおぉくんがこんなにも優しいと
この"幸せ"という感情に
終止符を打つ時が来るのを考えてしまって。



テ「…あなた?どうした?」



編集が終わったらしく
俯いていた私の顔を覗き込んできた。



テ「…今日、泊まっていきなよ」



私を見透かしたのか、優しい声でそう言ってくる。



おぉくんはこんなにも気を遣ってくれているのに
なんて馬鹿なことを考えてたんだろう
と自責心に駆られて、目から熱いものが流れた。



テ「なんで泣くの、おいで、」



ふふ、と軽く笑いながら私を抱き寄せる。



おぉくんの匂いに包まれて
安心してしまうと、もう駄目で。



嗚咽が止まらなくなる。



テ「本当泣き虫だな~、」



そう言いつつも背中を撫でてくれた。



テ「どうせまた私でいいのかなって考えてたんでしょ」



図星すぎて頷く。



やっぱりおぉくんは何でもわかるみたいだ。



テ「…心配しないで頼ってよ」



その言葉が暖かい。



『…ずっと一緒に、いたい、』

テ「俺だってあなたとずっと一緒がいい、」



胸に突っかかっていた不安が溶けていく。



やっぱりおぉくんは口上手だ。



不安なんて吹き飛ばしてしまう。



もしこの言葉が嘘だったとしても
簡単に人を堕としてしまうんだから。



私はおぉくんの背中に手を回した。



『…ありがと、』

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