第6話

3話
92
2021/04/11 08:56
リン「疲れた…メディアの目をくぐり抜けるのって楽じゃないのね…」


この間初めてでた大会…デビュー戦はとても楽しかった


あの子が作った最高に可愛い服と曲でプリズムショーをして、優勝を貰えるなんて…


建物外に出て、眩しい光に目を細めた


少し顔をあげれば、青い空が澄み渡っている


私がプリズムショーをやる理由は一つ


あの子の為



そして、自分に合った服を選ぶのではなく


あの子が作った服にあった自分を選ぶ


それが私


四月一日リン


よく苗字を読み間違われるけど、「しがつついたち」でも「エイプリールフール」でも「うそつき」でもない


「わたぬき」と読む


顔を隠すために帽子を深く被り、周りを見渡しながら歩く


誰かにバレたら大事になるため、バレないように全力で努力する


身を潜めるように背を低くして歩くと、姿勢にも問題が出るし、それなりに疲れる


ほんの少しだけ顔を上げると、とある店が目に入る


リン「…プリズムストーン」


これは、この間の綾瀬なるさんが店長をやってる店


興味がひかれ、攫われるように足を店の中へ進めた


ドアの先に広がるのは、大量の輝きを放つ沢山の服


リン「おお…」


思わず感嘆の声が漏れる


マネキンに飾られた服は彩度を放ち、可愛さを永遠と噛み締められるようなコーデ


顔がほころぶほど魅了される

「ごめんなさーい!まだお店準備中で…」


店の奥から聞こえた声に反応する


リン「えっ、あ…ごめんなさい!」


しまった、準備中の札があったのかな…何も見ずに入ってきてしまった


焦りの中、勢いよく頭を下げる


その勢いのあまり、深くかぶっていたはずの帽子は地に落ちる


リン「あ…」


なる「あれ…


わたぬきさん?」

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