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第1話

ある日の後悔
21
2019/09/11 13:54
目覚ましが鳴った。いつも通り。
少し急いで朝ごはんを食べる。いつも通り。
予定より送れて家を出る。いつも通り。
貰い物の自転車をこぎ始める。いつも通り。

どれもこれも、全部いつも通り。

その「いつも通り。」が苦しい。
普通のことが、ただただ苦しい。


みやび
みやび
ゆいの!おはよ!
ゆいの
ゆいの
あ!みやびっおはよ、!
特にいじめられてる訳でもなく、
別に親に強制されて入れられた学校でもない。



__それが余計に私を苦しめていた。


逃げる理由がないから。逃げられないから。

県立虹ノ京高校に入学して半年。
私はこの高校に入ったことを後悔している。
いや、この学校ではない。
正確には、この学校の 音楽学科 に入学したことを後悔しているのだ。

それでも私が逃げられずにいるのは私が選んで自分から入った高校だから。
そして、辛いのはたったひとつ、音楽だけだったから。
でもその音楽が本当に嫌いになってしまった。

ゆいの
ゆいの
(半年前は毎日部活で吹いてたのにな…)
私の専門楽器はトランペット。
小学4年生から続けてきた楽器だった。
中学の3年間も全てをトランペットと吹奏楽に捧げてきた。
6年間のその勢いで私は音楽に特化したこの高校に入ることを決意した。
「本当にここでいいの?」と親に何度も確認されたのに振り向きもせず、真っ直ぐここに入ってきたんだ。

今私はその自分を酷く恨んでいた。

ゆいの
ゆいの
(…こんなとこ、入んなきゃよかった。)
心の中でそう呟いて授業の準備を始めたのだった。

【作者から】
初めてプリ小説で小説を書きます!
間違いやアドバイスなどあったら教えて欲しいです!✨

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