嫌だ。聞きたくない聞きたくない。きっとそれは私にとって1番嫌なことだ。
やめてやめてやめてやめて
なんで大翔が死んでから思い出すの?
これは、、、1度目の死じゃない。2度目の死だ。
あの日、大翔は私の目の前で死んだ。
あの時も大翔を救うことが出来なかったのは私のせいだ。
今回も“何も”できなかった。
私はこの場所にいることが辛くて外に出た。
外の空気をすれば少し落ち着くかと思ったが落ち着かない。
行く当てもないのに改札を通り電車へと足が勝手に動いていた。
周りの乗客が騒ぎ出し皆、苦しみの声を上げて倒れていく。
辺りを見れば何か白いガスが充満している。
ここは密室。逃げることもできない。
息ができない……
苦しい
辺りの景色がどんどん遠ざかっていく
結局そこで私の意識は途切れた。
私の“2度目”の死だった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。