❤️「今、あなたがあいつのことを呪ったの…?」
「……うん、そう。…怖いよね、私の事。ずっと自分が人のことを呪うことができるのは気づいてた。だけど気づいてることはみんなに隠してたの。怖がられちゃうから、きっと離れちゃうって思ったから。ごめんなさい… もう私の事なんて信用出来ないよね。」
💚「……なんだ」
そう言ったうらた。見放されてしまう怖さからみんなのことが見れない。
塵となったあいつの灰を眺めながらもう一度ごめんなさいと呟く。
💚「少しは強いんじゃん。」
「え?」
💜「何も出来ないおっきい赤ちゃんだと思ってたけど、少しは自分の力持ってんじゃん」
❤️「怖くないよ。あなたのこと。俺らあなたのこと大好きやから。」
💛「こんなことであなたちゃんから離れるわけないでしょ?いちばん分かってるのはあなたちゃんじゃないの、呪いをかけた張本人やのに。」
「……でも、今私人のことを呪殺しちゃったんだよ」
💚「人ぉ?!あれをよく人間扱いできるな」
「い、いやだってさっきの見た目は確かに怪物だったけどさ…」
💜「怪物って!雑魚ちゃん言い過ぎやって!」
そうケラケラと笑う志麻。
私は至って真面目なんですけど…
💛「あなたちゃん、そういうこと。俺たち全然さっきのは気にしてないし、多分罪にはならんと思うで。」
❤️「正当防衛で魔法当てたことあるやつの説得力は桁違いやな〜」
💛「殺すぞ」
「ちょ、ちょっと落ち着いて…」
結局いつもの調子に戻ってしまった。
さっきまであんなにシリアスだったのにあっという間にみんなのペースだ。
でも、みんなの言葉に救われた。私はこの手で人の命を奪った。あの時放った熱の感覚がまだ手のひらに小さく残ってる。あれだけ強い呪いを放ったのは初めて。
というか自分の意思で呪いを使ったのが初めてだ。
みんなが言う私の呪いについては全く自覚がなかった。
だから呪いの種類や、呪文なんて知らなかった。
でも、一つだけ知ってた。うらたと一緒に魔法の練習をした時。
うらたが本を開いたまま寝ちゃった時に読んだ。あれは呪いの辞書だったのかな。溺愛と書かれたページに付箋が貼られていた。その隣に書かれていたのが今私が使ったあの炎の呪いだった。
一生で1度だけ使える、強い 怨恨 嫌悪 私怨を込めて放つことが出来るかなり強力な呪い。
ここまでのことを全部話すとさっきとは一転、みんな真面目に私の話を聞いていてくれた。
💚「あの時読んだのかよ」
「勝手にごめんね」
💚「いやいいんだよ。実際あの炎のおかげで俺たちは守られた。そういえば言ってなかったよな。守ってくれてありがと。」
そう言って私の頭を撫でるうらた。
じわりと目が熱くなった。
私に酷いことをしてきた人だ。私からずっと幸せを奪ってきた人。だけど、勢いで呪いをかけてしまったこと。それに少なからず罪悪感を感じていた。
それなのに、うらたに感謝されたこと。やっとみんなの役に立てたことが本当に嬉しかった。
「お前たち無事か!!」
❤️「せんせー!!」
傷だらけの先生が私たちの元へ走って駆け寄ってきた。
ずっと私たちの居場所を探してくれてたのだろう。
「あいつは?」
💛「……あの、」
「私が殺しちゃいました」
「え?」
「全部話しますね」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。